とがぴ

シン・ウルトラマンのとがぴのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
5.0
圧倒的なヒーローと人間讃歌の前に、平伏して涙する事しか出来なかった。

ヒーロー映画を構成してる栄養素はその作品によってまちまちだとは思うが、同時に「外しちゃいけない」のがBGMだと思ってて、今作のそれに関しては期待以上。ウルトラマンには緩いヲタクの自分ですら全身の毛が逆立ち、何度高揚感を覚えた事か。

まさかのAタイプでの初陣(しかも全身が本当にギンギンに染まった銀色での初登場)や、にせウルトラマン戦で攻撃時に痛がる仕草、メフィラス戦で3歩分くらい下がるメフィラス星人とウルトラマンの演出など、最早ここまで来ると病的とすら呼べるファンサービス精神の旺盛さも素晴らしい。出来るものならその場で立ち上がって叫びたかったぐらい嬉しかった。

ストーリー性も序盤は薄味だったものが、それらがザラブ、メフィラスパートでより濃厚に見せる為の「背景説明」でしかなかった構成の巧みさにも脱帽。正体バレを中盤の段階で消化し、神永と禍特対チーム達の友情と協力関係に注力されてからは見入るばかり。

ヒロインの浅見と神永の直接的な描き方ではないものの、それとなく恋愛的な香りを匂わせる空気感は何処となくシン・ゴジラの矢口とカヨコの関係性のそれを彷彿とさせる。

個人的に大好きなのは班長の田村(演:西島秀俊さん)。いつ如何なる時も現場を冷静に指揮し、毅然としてる姿は理想の上司そのもの。

落とし所も人間の可能性を信じるウルトラマンと、託された人間達の必死な抗いが勝利を生む。これこそが空想の中の浪漫、そして友情というキャッチフレーズ通りだった。

ウルトラマンに憧れた人、ウルトラマンが好きだった人、ヒーローを愛する人、何より人間を愛する人へのラブレタームービー。そう言ってもいいと思う。
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