ぎー

シン・ウルトラマンのぎーのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
4.0
【2022年ヒット作特集6作品目】
「君達の未来が最優先事項だ。」
「人間になるとは死を受け入れる事だ。」
禍威獣が続々と現れて、禍特対が駆除しまくるところから映画は始まる。
この辺りは『シン・ゴジラ』そっくり。
視聴者は内容を全く理解することはできないし、制作者側も理解させる気もない。
個人的にはこれはこれで良いと思う。
丁寧にやってたらとてもじゃないけど尺が足りないし。
よく分からないけど、禍威獣が続々と出現して、四苦八苦しながら禍特対が駆除して、でも限界でってのが分かれば良いんだろうし、官僚制がリアリティ持って描かれてる世界観にワクワクしながら没入できれば、あの早回しのようなセリフを聞き分ける必要もないんだろうな。

電気を食べる禍威獣ネロンガが出現。
この対応だけでも、禍特対のメンバーがいかに優秀かがヒシヒシと伝わってきた。
膨大な知識と極めてロジカルな思考に基づいて、かつ、普通はここが難しいけどチームワークを持って役割分担して動き、上司との報連相も円滑に行って、的確な判断を的確なタイミングで行う。
現実にこのような人々が日本を支配、統治してくれたら日本は安泰だと思う。

こんなに映画序盤でウルトラマン出てきてくれるとは思ってなかった!
幼少期にウルトラマンからウルトラマンガイアまでをほとんど見た自分ではあるものの、ここまで興奮するとは思わなかった!
令和に最新の映像でスペシウム光線を見れるなんて。
それだけで大興奮だったし、映像化してくれて大感謝だった。

磁気を操るザラブ星人の描き方も見事だったと思う。
そうなんだよね、結構ウルトラマンの敵って怖かったり、知的だったりする。
今回のザラブ星人もだいぶ怖い。
車に斎藤工が乗ってる時に横に突如現れた時はゾッとした。

意外だったのは戦闘シーンを初めとしたCG描写のクセ。
個人的には全然気にならなかったし、外星人感を出すために動きがカクカクしてたと捉えているけど、好き嫌い分かれそうな気はした。

山本耕史が演じたメフィラス星人も滅茶苦茶良かった。
プレゼン技術を身につけて、政府高官に取り入ろうとする外星人っぽくなさ。
無駄に難しい言葉ばっかり使うところ。
敵?敵ではないのか。にもかかわらず、ヒーローのウルトラマンと極めてロジカルに会話するところ。
そして最終的にも、なんならウルトラマンに勝てたのに、ロジカルな判断に則ってウルトラマンとの戦いを収束させること。
いや、昨今の日本の実写版ヒーロー映画で圧倒的に魅力的な敵の1人だったと思う。

ゾーフィも出てきた!
流石に元祖ウルトラマンのストーリーは覚えてなかったけど、ゾーフィってそういう目付役みたいな役回りだったっけ?そんな気がしてきた!
そして、人類を殲滅することを光の星で決めたということを通達。
うわー、滅茶苦茶ロジカルなんだろうけど、サラッと人間にとっては非道い決定をして下さった。

ゼットン!ゼットン!!
流石に覚えてる。
子供の時もゼットン見て、絶望してた。
この映画でも、その絶望的な強さがしっかりと表現されてて滅茶苦茶良かった。
光の星事由の禍威獣っていうのはすっかり忘れてたけど。

ゼットンの戦いに赴く斎藤工と長澤まさみ達との会話は悲壮感たっぷりで感動的。
こんな会話、こんな戦闘見せられたら、そりゃあ皆ウルトラマン好きになっちゃう。

大ヒットしたものの、『シン・ゴジラ』ほどのスーパー大ヒットはせず、口コミもそこまでだったから、どんなもんだろうと思って見たら、いやいやいや、かなり良い映画だった!
多分今回の"シン・シリーズ"のゴジラ、仮面ライダーと比較して圧倒的に見込んだ世界観、っていう個人的事情は影響してそうではあるけど。
でも、ウルトラマンをここまで魅力的にリブートしてくれたことには、感謝しかない!

斎藤工の外星人演技はなかなか良かった。
原作と設定を変えた理由は後で調べたいな!
日本中の男子がウルトラマンはハヤタ隊員が変身するものだと義務教育バリに知ってるから。
必要だったのか、というところで言うと、長澤まさみへのスーパーセクハラかな。
日本人で圧倒的に好きな女優の1人だけど、その魅力が過ぎるがために、この映画のターゲットがもしかしたらファミリー層だったかもしれないのに、長澤まさみを巨大化させたり、長澤まさみの体臭を斎藤工が嗅いで、その臭いでアイテムを追跡するとかっていうクダリが必要だったのかは分からなかった。
長澤まさみファンとしては悪い気はしないけど。
あとは山本耕史もら良かったね。
メフィラス星人というキャラの魅力も相まって、気持ち悪いけど憎めない独特の魅力が爆発してた。

円谷プロといえば本来は特撮の神。
賛否あるのかどうかすら知らないけど、最新技術駆使して、魅力的にリブートするなんてやっぱり最高の企画。
本当はこれ以外にもバルタン星人、ジャミラ、ピグモン、ダダとか魅力的な禍威獣がいっぱいいるのにー、とは思った。
バルタン星人とかジャミラとかはもはや日本人の教養レベルなんじゃないの?
だから、二作くらいに分けて映画化して欲しかったけど、そんな事思うのは少なくとも男性だけ、かつ、ウルトラマンに触れてきた人だけなんだろうな。
『シン・ウルトラセブン』とか出ないかなー。
出ないよなー。
ぎー

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