いの

1917 命をかけた伝令のいののネタバレレビュー・内容・結末

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

走れスコ


不思議なことに、舞台劇を観ているような気持ちになった。まるで舞台の上で役者がその場で駆け足をしていて、背景だけがスムーズに横へ横へと移動しているかのように。それは、ひたすら続く塹壕のような狭くて窮屈な空間に於いてだけでなく、あたりいちめん草原のような場所に於いても、そのように感じた。どこもかしこも閉じられた空間だったのかもしれない。全部が全部、周到に念入りに用意され準備され、ようやく舞台本番を迎えました、といった感じ。戦時では特に、何が起きてもおかしくないのに、唐突に暴力的に、用意された世界にぶっ込んでくるようなリアリティがない。文字通りの、死屍累々と横たわる、膨張した死体さえ、美しき(語弊はある)舞台背景のようだった。ある確固たる美学に基づいた世界観。舞台芸術。


だからなのか、終盤、ふいに、その舞台から飛び出して、突破して、本当に走る姿に(そのように感じました)、感極まってしまった。やられた! この場面のために、それまでの用意周到があったのか。いやー、まいったな。
スコフィールドは何故走るのか。何故、命を賭してまで走るのか。誰もやりたくはないようなことでも誰かがやらなければならないことならばやるという覚悟に至る話だったし、友のためにやる・友のためにならこの身を差し出せるという、やっぱりこれは、自分にとっては好きな話だったのかもしれない。(なぜか恥ずかしくて照れる💦)


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メモ
・主役のジョージ・マッケイは「パレードへようこそ」で知る(アンドリュー・スコットも「パレードへようこそ」に出演)→「はじまりへの旅」では、ヴィゴの長男

・リチャード・マッデンはGOTのお兄ちゃん(ロブ・スターク)

・多分、イギリスの役者が多く出演していたのかな。なんとなく、その方が、この映画には良いのだと感じた。カンバーバッチの最後の台詞が重い。

・不覚にも、クレジットでコリン・ファースが出ていたことを知る。キャストじゃないところにも名前が出ていたような気がする。
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