ぐりこ

1917 命をかけた伝令のぐりこのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
3.6
近年まれに見る心臓に悪い作品だった。圧倒的な臨場感、緊迫感からの解放感と疲労感。
ワンカット風とか話題になってたけど、それは本質じゃなく、要は“観る”っていうより“体験する”ってこと。兵士目線に近いカメラワークが多くて、VRの戦争ゲームの臨場感に近い。
ドイツ軍の罠にはまっていることを最前線に伝える伝令役を仰せつかったスコフィールドとブレイク、前線部隊には兄ブレイクがいることもあり、決死のミッションスタート。鉄条網を抜けて空白地帯に入るとき、すでに放棄された(と聞いている)敵塹壕へ足を踏み入れるとき、ずっとドキドキしっぱなしだった。心臓に悪い。
ドイツ軍パイロットを助けたばかりにブレイクは命を落とすけど、ここはスコとブレイクの友情が沁みるシーンだった。
一時的に同行した遊撃部隊に別れを告げ、ドイツ軍支配下のエクーストへ侵入したスコは町の女性と赤子と邂逅し、改めて前線を目指す。夜明けのエクースト脱出は圧巻の疾走シーン。どうやって撮影してるのか知らないけど、あれは怖すぎる。心臓に悪い。
川に身を投げたスコは流れ着いた死体だらけの岸から這い上がり、森の中で穏やかな歌を耳にする。それは突撃を控えたイギリス軍の兵士の歌だった…

作品の特性上、景色はずっと戦場ということもあり、終始敵か味方かわからない多くの死体が映り、そこにネズミがたかり、映像から臭いがしそうな画だった。リアル。

とにかくスコくん、よくぞ生きて任務を果たしたよ。立派だった。
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