Sachika

マーティン・エデンのSachikaのレビュー・感想・評価

マーティン・エデン(2019年製作の映画)
3.7
上流階級の令嬢に恋をした、貧しい船乗りの青年マーティン・エデン。
愛が知性への野心を掻き立て、言葉を紡ぐ事を知ったマーティンは、貪欲に文学の道を志す。
しかし成功と絶望は紙一重なのかもしれない。
成功を手に入れたとして、本当の幸せはそこに見つけられるのかな。
破滅的な笑みを浮かべるマーティンの美しさに惚れ惚れした。

愛と夢をどちらも手に入れようとする姿は、よく言えばひたむき、悪く言えばクズ。
結局学校へも通わず、ひたすら本を読み独学で言葉を覚え、周りに助けられながらの生活。
成功するかもわからない夢に向かってただただ小説を書き続けてるのが許されるのは、かなり映画的な世界だと思った。
唯一、夢想ではなく、マーティンが描いていたのは自身の生きる現実。
理想家が目を向けない貧困層の物語だったから、そこまで嫌いにはなれなかった。

画面の上の色合いや音楽もとても素敵な作品でした。
上流階級の音楽(クラシック)と、ポップスや民謡。
途中で流れる無声の映像も良き。
終わり方含め、挑戦的な作品だったとのこと。
監督がフィルムにもこだわりのある方で、アフタートークで「(好んで使っていた日本の)富士フィルムのフィルムの再販を!!!」って話を熱弁してたの可愛かったw
ぜひ次は日本にもきて、お話を伺いたいなあ(そのくらいチャーミング♡

@FansVoiceJP 試写にて
Sachika

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