バムセ

おもかげのバムセのネタバレレビュー・内容・結末

おもかげ(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

原題「MADRE」(母)とあらすじからは予想つかない展開の作品でした。美しいフランスの海岸と、主演女優さんの情緒不安定な演技、先の読めない展開と余韻、好みの作品でした。

スペイン在住のシングルマザーのエレナは、元夫とフランス旅行中の6歳の息子が迷子になったと電話を受けますが、その電話を最後に息子は失踪。
失意のままエレナはフランスの海岸に移住して10年の歳月が過ぎていて・・・

冒頭の息子からかかってきた電話での混乱と狼狽ぶりが凄まじく、観ているこちらまでいたたまれない気持ちになりました。
若々しい母親だった彼女が美しいのには違いないのですが、悲しげな雰囲気を漂わせていて、目が離せません。
「10年前に息子を失った頭のイカれた女」等の陰口を叩かれる程、彼女の行動は常軌を逸していますが、大切なものを失った者が、おかしくなるのも頷けます。失意の彼女を新しい恋人が優しく、時には厳しく支えますが、残念ながら、失意の彼女を立ち直せないのも同性として歯痒いですし、辛かったです。

息子の面影を宿した少年ジャンとの関係がどうだったのか分かりませんが、彼女が再生への歩みを踏み出しただろうと推測されるラスト。電話の相手が哀しみを共有出来る唯一の相手で、オープニングの電話の混乱と狼狽さを乗り越えたと推測しました。
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