このレビューはネタバレを含みます
原作未読、オリジナル未見で鑑賞です。
監督さんの過去作「さざなみ」が人の心の機微を上手く捉えていた印象だったので、期待して鑑賞。
冒頭のフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのプロモーションビデオから80年代のUKポップロックを聴いて育った世代なので、彼の性嗜好が察っする事ができます。他にもあの時代の同性愛者への無理解、AIDSに対する誤った知識からの両親との確執からのペット・ショップ・ボーイズの歌詞にのせた和解。涙腺崩壊寸前、見事でした。
正直、前半の中年男と若い男の性描写は、キツイなってくらいで見ていたのですが、孤独な中年男の半生が明かされると、自分とも重なる部分もありました。過去の呪縛から来る胸のしこり、自分にもあります。とても悲しくも幸せな両親とのお別れを済ませて、はじめての心も体も許せる相手と幸せになろうとした後の真実。衝撃でした。
哀しくも切なくも思えるラストシーンでしたが、自分には彼の心のしこりが取れて、浄化された様にも感じました。流れる「パワー・オブ・ラブ」が沁みました。