ベルベー

マリッジ・ストーリーのベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

アダム・ドライバアアアあああああ!!涙。お互いのことを思いやっててもどうしようもない時もある、しかも攻めなきゃ(責めなきゃ)負けるアメリカではそうなんだな…ううモヤモヤ…とか、クスリと笑ってしまうシーンとか、胸が痛くなるシーンとか、最後の小さな温もりとか色々語りたいことはあるけどとにかく言いたいのは、アダム・ドライバーの演技に号泣です。

長身で筋肉質でイケメン、しかもオシャレなのに滲み出る芋っぽさ。他のスターにはない唯一無二の魅力を、彼は今まで色んなジャンルで活かしてきた。「スターウォーズ」では情けなさが漂うヴィランを。「沈黙」では異文化の前に成すすべもない宣教使を。「ブラック・クランズマン」では破天荒な黒人刑事に振り回される相棒を。そして本作の、いいヤツで才能にも溢れてるんだけど欠点もあって、どうすればいいか自分でもよく分からなくなってくる悩める主人公。アダム・ドライバーじゃないと出せない魅力が全開だった。

特に今回は演技がまた凄くて。表情で伝わるイライラや不安。ニコールに怒りをぶちまけ、自己嫌悪に陥る一連の流れの壮絶さ。青くはないかもしれないけど、痛くて脆い。健気なんだけどだからダメでもあって、でもそこが魅力で…「人を愛する複雑さ」という本作のテーマを象徴する、ジャストマッチな演技。何回見てもホロリとくるでしょう。

スカーレット・ヨハンソンもキャリアハイでは。「ロスト・イン・トランスレーション」の時の上手い下手を超越した、あのタイミングだからこその輝きを別としたら。最近ブラックウィドウか亜流ブラックウィドウばっかりのイメージだったし笑。てかアダム・ドライバーとのバランスが最高だったと思う。彼女もチャーリーと争いたいわけじゃないのに、息子を奪われるという周囲の声、焦りや恐怖によってチャーリーを追い詰めざるを得なくなる。それによって彼女自身追い詰められている面もあって。チャーリーとニコール、どっちにも言い分はあるし、どっちにも悪い部分がある。簡単に白黒つけられないよ。

でも白黒つけなきゃいけない。あれやこれやを吹き込んでくる弁護士たちには怒りが沸くんだけど、正論なんだよな彼ら。特にローラ・ダーン演じるノラは、裁判で相手をボコボコにすることしか考えてない、血も涙もない冷酷な弁護士!チクショウ!って思ってしまうんだけど、でも彼女のような姿勢じゃないと泣きを見る人も間違いなくいる社会。「マリアは完璧じゃないといけないのよ!何だよ処女懐胎って!ファーザーは姿を見せようとすらしない!」って啖呵は強烈だけど、どんなに彼女がイヤな奴でもこの台詞にはハッとさせられざるを得ない。キリスト教圏でこの台詞を言わせる大胆さ。それにしても途中でフェードアウトするレイ・リオッタてめえ!出てても出てなくてもイラッとさせてくるな!笑
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