いの

マリッジ・ストーリーのいののネタバレレビュー・内容・結末

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます


フィルマをやっていると、時々こういうことがあります。私は、それ程には良いと感じませんでした。役者が大変良かっただけに、むしろ監督に対してムカッときている。私の感覚が変なのかもしれないけど、それでも、言いたいことを書いてみようと思う。


『雨の日は会えない、~』でジェイク・ギレンホールはこう言った。「僕たちには、愛はあったのだ。でも、怠ってきたのだ。」失ってから、あるいは失いそうになってから気づく夫婦の愛。どちらも同じテーマだとするならば、断然ジェイクの映画の方が好みだな。



靴紐を結び直すように、やり直せたらいいのにね。髪の毛を切るシーンが好き。優しさと思いやりにあふれていて、その人の髪の毛のクセをきっとわかっているんだろうなって、そんな共に過ごした時間も感じられて、だからなのかちょっと悲しい。髪の毛を切るシーンは、深津絵里と本木雅弘の映画のシーンも思い起こさせる。スカーレット・ヨハンソンの母親役は新鮮だし、このアダム・ドライバーも好き。普段使いのデニムのシャツがとてもよく似合っている。主役ふたりの演技は素晴らしいと思う。2人が並ぶと背の高さがとても違っていて、比べるととても小さく感じるヨハスカに、ブラック・シャドウにも(そしてカイロ・レンにも)日常生活があったんだなあって思う。

ホントは互いを思いやることもいたわりあうこともちゃんとできるのに、どうして上手くいかないんだろうね。息子ちゃんも可愛かった。三輪車乗ってレッドラムゆう少年にもちょっと似てへん?気のせいかな(多分気のせいw)。アダム・ドライバーのLAでの住まいで、2人がののしりあうところ、だんだん2人が、芝居がかった言い合いになってきて、役者が役者を演じているという2重3重の螺旋状況に(ホントは内心冷静なのに、ののしりあいを止められない状況に)、ちょっと笑いました。

弁護士とか、調査員とか、まったく嫌になっちゃうよ。グッドフェローズでバリバリのギャングやってた怖ーいレオ・リオッタさんが弁護士だなんて、それも笑える。でも、ギャングのレイ・リオッタさんのまんまやったね。ローラ・ダーンの、「女は完璧を求められる」発言のくだりには全面賛成したい。


私はこの映画の好きなところや良いと感じたところを思い出して、今、こうやって書いている。相手の良いところや面白いところを見つけていったら、そしたら好きなままでいられるような気がして。でも、この映画にはいろいろ引っ掛かるところがある。これだけ好きなところを挙げてみても、監督のやり口自体が好きになれない。経済的に依存しているから別れられない人も、そもそも別れるなんて考えられない人もいることを、仕事を通して、私は知っている。経済成長が、もはや夢物語となった現在において、生き残るためには、リスク回避の意味からも別れない方がいい、そんな世の中になってきてもいる。貧困層に限らず、いわゆる一般的なご家庭でも同じく。みんな必死なんだ。そんななかで、比較的裕福で、高額な弁護士費用を捻出できる、ゲイノウ関係の人たちの離婚話なんて、なんで観ちゃったのかな。ケッ!だよ全く。私はフィルマに復帰する時に、自分の考えをもっと言えるようになろうと決意したんだ。気が弱いからいつも迷って、何回もくじけそうになるけど、そのたび何回も決意していくんだ(大袈裟だな)。自分の気持ちを偽りたくない。だから頑張って言いたいことを書いてみた。笑 以上。
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