しゅんすけ

WASP ネットワークのしゅんすけのレビュー・感想・評価

WASP ネットワーク(2019年製作の映画)
3.8
「WASP ネットワーク」

 NETFLIX製作のキューバを舞台にしたスパイ・サスペンス。 昨年の東京国際映画祭にも出品されてたかと思います。

 1990年前半、カストロ政権による社会主義を破壊しようとマイアミで組織され、小型機でキューバに侵入し、反体制を煽るビラを撒いたり、観光地に爆弾テロを仕掛ける反政府組織CANF。そのCANFを潰すためにキューバ政府に依頼され、アメリカに亡命した者のふりをして、CANFに潜入。政府に情報を流して、反政府活動を封じ込めようとするスパイ集団のお話。

 監督は「カルロス」や「アクトレス」、「デーモンラヴァー」、「夏時間の庭」など様々なジャンルを撮るオリヴィエ・アサイヤス。箇条書きのように、淡々と事柄を手際よく描いていくため、そこまで混乱せずに観れます。ただ、スパイ映画とはいいつつ、ボーンシリーズや007みたいなド派手なものではなく、「裏切りのサーカス」よりの、アクションシーンは限りなく0に近い映画なので、人によっては単調に思えるかもしれません。あまりに派手さにかけるので、「裏切りのサーカス」のような、たまにぎょっとするバイオレンスを入れ込んだり、「バリー・シール」のようなもっとブラックコメディのような作りにしても良かった気がします。

 また、フェアといえばそうなのですが、CANFにもキューバ側にもどちらにも肩入れしてない作りなので、あまりメッセージを押し付けない感じが観やすいとは言えるものの、物事を羅列しただけで、作り手側は「何が言いたかったのだろう」とモヤッとする部分が残りました。NETFLIX で「ザ・ファイブ・ブラッズ」が配信中のスパイク・リー監督の、強烈なメッセージを突きつけてくる感じとは対照的な気がしました。

 キャストでいうと、アサイヤス組のエドガー・ラミレスやすっかりおじさんになったガエル・ガルシア・ベルナルもいいのですが、「ナイブス・アウト」に続き、アナ・デ・アルマスが好演していて、本作ではセクシーさ全開で良かったです。「007」最新作に出るので、どうなってるか楽しみです。

 128分ありますが、かなりあっさりしてるので、社会派サスペンスあんまり観たことない人は手始めにこういう映画から観るといいのかな~と思います。