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HOKUSAIの8637のレビュー・感想・評価

HOKUSAI(2020年製作の映画)
3.5
昔々、世界が日本の想像力で創られていた頃。まだ寫眞も鉛筆も無い時代に、筆だけで人の心を動かした絵師達。
表現の自由を咎められた彼らに唯一共感する、「出る杭は打たれる」という言葉の無情さ。
なぜ皆、文化に本能的になってしまうのだろうか...こんな日だからだ。

この映画は、北斎が目で見たものは可視化しないで、ただ筆を動かす彼の姿をエネルギッシュに映す。
この映画には北斎の他にも歌麿、写楽が登場するが、果たして映画内の浮世絵では一人一人の画風を正確に表現できているのだろうか。

イマジネーションが映像の特異に現れた後半は確かに良いのだが、主演をダブルキャストで行うのなら章分けの構成をもう少しちゃんとすべきだし、シークエンス単体では面白いものの全編通して観ると欠陥があって飽きる。

しかし、劇場であの波の音を聞けたのって、余程素晴らしい事なのではないか。
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