映画館で観ていた予告がかなりアートというか、色の洪水だったもので、機会があったら観てみようと思ってた作品。
謎多き葛飾北斎の、しかも知られていない部分を想像で描いたような内容です。
前半、美しく華やかな遊郭であったり、苦悩する若き北斎の仕事場のどこか荒れた無色な色彩だったり、病に倒れていく師匠(というか見出してくれた人)を取巻く暗い影だったり、視界に訴える色彩の感覚はとても良いけど、予告から観たら随分地味だなとも思ったり。
(予告ってもっと蜷川実花的な感じ…笑 しかも華やかなのは北斎より歌麿演じた玉木宏の方だったんで、何故か玉木宏ががメインキャストの印象が…😂)
北斎って、天才の1人なんだと思ってきたけど、実は『努力を重ねて天才的に化けた秀才』だったんだなあといえことがこの映画ではよく解ります。
ギリギリのところで見出してもらって、好きを続けて認められて良かったねえ、と。
後半キャストが変わって田中さん演じる老年期に入ってからは、さらに鬼気迫る感じでズッシリ来ますよ。
病を患ってからもさらに進化し続ける姿は鬼気迫るものがあります。
ラスト、老いて円熟味を増した北斎が、その魂のままに、若き我武者羅さに満ちた北斎と共同作業をするように描く姿も。
そして、民の心が自由になるのを恐れるあまり、娯楽や表現を締め付ける、そういうお役人やお偉いさんの構図は、未だに変わらないのが残念にもなる。
絵は誰でもわかる。 言葉がわからなくても。
いわゆるアート活動をする友人も周りには居て、その中には海外の人も居るけれど、本当にそうだなと思うし、それを受け取る感性は、やっぱり自由でありたいなーと、1映画好きとして思います。