Yu

地獄の黙示録 ファイナル・カットのYuのレビュー・感想・評価

5.0
約3時間の地獄巡り!ドーパミン祭りのベトナム縦断ロードムービー!!!
家でゆっくり見たら、内容について色々考えてたと思うんだけど、スクリーンで見ちゃったらもう脳汁ドパドパの狂気映像にひたすら酔いしれて、最後は白目剥いてました!なんだこれはぁ

ストーリー!
不健全になってカンボジアで神様になっている元グリーンペレーのユーモアもわかる優秀な軍人の暗殺を命じられた主人公が、4人の部下を引き連れベトアムの河を只管登っていく。
その中で数々の地獄を見て王国にたどり着いたときに主人公は、暗殺対象の心が重なりつつあって……。

ベトナム戦争の悲惨さとかPTSDでどうのとかについては、あんまり冗談っぽくお話しするのは気がひけるから一旦置いといて、ゾクゾクした映像と雰囲気からアウトプットしていくよ!!

今作では、地獄が7つあって、上流に行くに連れて地獄レベルが上がっていくんです。
でも徐々に上がっていくっていうよりも、致死量の地獄を毎回目に注入されるのは徐々に胃もたれしていくというか、ラーメン二郎一回目が普通で二回目が野菜マシで3回目がマシマシで、みたいな、なんかレベル上げてても1回目のダメージですでにお腹いっぱいだからもう入れた分だけ体の穴という穴から地獄汁が外に漏れ出していくんですよね、そんな感覚でした

でまず最初の「ジャングルに行きたい地獄」
正直地獄としてカウントしてもいいのかわからんけど、完全に自分もジャングルに帰りたい気持ちになったからそれだけでもう地獄。
地獄に一回行くともう帰る場所は無くなってしまって、もう一回地獄を求めちゃうって、本当にラーメン二郎を食べて後悔したのにまた食べたくなっちゃうみたいな感じと似てるよな=〜。
でもベトナムでぶっ壊れたものはもう直らなくて、外面的に直ったとしても中身はもう鬼になっちゃてるのはグッときちゃいました。
朝起きて知らない天井だ……みたいなノリで今日もジャングルじゃないですね、ってなんだか心臓がギュッとされた感覚になった。
ウィラードのベッドダンスはもう完全にイっちゃてる人のソレで、鏡を割ったのは破壊衝動なのか、それとも戦わずに大人しくしている自分を映し出すものに苛立ちを感じてたのか、、それで流れた血を顔に無理やりぬりだくるのはもう完全にソルジャンキー、、なんだか胃が痛くなった!!

「朝のナパームは格別だ地獄」
カウボーイ風サーフィン中佐による焼き討ちは正直目が眩んだ、、体から本当に変なもの出てきて、血と汗とガソリンと肉が焼ける匂いも感じられちゃうくらいの引き込みで、ゾクゾクが止まらなかったですん
常に画面のどこかで爆発している映像ってめちゃめちゃ好きだし、やっぱりCGを使わない爆発は爆風とか熱とかも映像から感じられて本当に素晴らしいですよね。
ジャングル燃やしもすごいんだけど、橋をキレーにぶっ飛ばして、ヘリコプターが燃えながら飛んで、戦争オペラってこれなのねん!!戦争をエンタメとして楽しんでるアメリカ軍と同じ目線に立っちゃうような自分がそこにはいたわけでありまして、戦争を知らない世代というか、なんだか後ろめたさは感じちゃいました。
でもさ、あれを見て戦争の悲惨さを感じろッ!っていうのはちょっと酷な話だとも思っちゃうのです。
だってはらわたはみ出しちゃってる軍人に水をあげる中佐のシーンってもう絶対ににやけちゃうじゃん。
2mの波が立つからそこ周辺の村をぶっ壊す発想もふざけてるし、銃弾爆弾が降り注ぐ中でサーフィンをやらされる軍人なんてもう「ヘヘっ」てなっちゃうわな、、あくまで映画だからっていうことは重々承知しているんだけど、リアルで自分がその環境にいたとしたら、まず10秒で死ぬんだけど、もし生き延びたとしたらあんな感じでヘラヘラしちゃうんだろうなぁ〜とか思いました

「プレイボーイ地獄」
そんな自己嫌悪感にちょっと殴られて落ち込んでるときに普通に最悪な性欲を見せられて普通にドン引き。
ストリップとか、映画に出てくるおっぱいとか、そーいうのはサイコー!ヤッターーー!!ってなるわけなんだけど、温度差といいますか、そこで金を産もうとしてる汚え成金デブおっさんとか、そこでコロコロ転がされてる普段は殺しまくりの軍人とか、、別に戦争に行った人が常に重苦しい顔つきでいろとか、そーいうことは思わないんだけど、なんというか、あの裏にどす黒い何かが蠢いてるキラキラしたステージはオェ〜ってなった。
あと普通にお触りはダメだろ!そこはコントロールしろ!!!!!なんであんなにイライラしたのかはよくわからないけど、結構地獄でした

「子犬地獄」
引っ張られてる犬かわいい!パピー!

「あんたが指揮官だろ地獄」
ベトナムとカンボジアの国境ライン。
船の周りには帰りたくて仕方ないホームシックソルジャーが近づいてくる。戦争をしているわけだから常に縦断が飛んでるんだけど、飛び交っている様子は正直感じない。指揮官も相手もよくわからないままとにかく撃ちまくる。まじでこれは地獄だなぁ、ってめちゃめちゃ思いました、
日本人の自分からして地獄っていうと針山だとか血の池だとか、圧倒的なものをぶっかけられて苦しむみたいなイメージなんだけど、実は地獄が恐ろしいミソってぶっかけられるところじゃなくて、それが終わらないところなんだなぁと、そう思うとなんか死ぬ程息苦しくなっちゃってうぅぅって、、この辺りからサーファー軍人がLSDサイコー人間で頭パッパラパーになっちゃっててちょっと好きになってきちゃう。
胸元に子犬を入れて銃声がうるさい堤防からで遠くを眺めてる様子は、これはもう人間じゃないなって、精神が壊れたというか無くなった虫みたいな感じ。
和んでいいのか焦っていいのか、ウィラードがあそこで声かけなかったらあそこでわけもわからずずっと撃ちまくってたのかぁ。
なんだか理由もわからず見えないものと(多分いたのかもしれないけど映画だとほとんど映ってなかったからいないってことにするよ!!)無期限に戦ってそれを疑う余裕もないし、疑うだけ損って考えになっちゃうのはこれもまた地獄なり。


「フランス地獄」
ママから送られてきたテープを聞くという絶対に死ぬ行動とった青年兵がうっかりフランス人に殺される。
ベタだけど「無事に帰ってきてね」って死んだ後に流れるのはうっってくるよね。。クルーの雰囲気も最悪だし見てて辛くなったんだど、うっかり殺したフランス人は土葬もしてくれるし、ご飯もくれるしてちょっとほっこり!でも初対面の人と政治の話はマズいよね!!土正論でアメリカ軍の批判をぶん投げてきて、せやな。ってなるんだけど、フランス人の色々過去に取り残されてる感じはなんか革命の国の人なんだなぁって思いました。
あと未亡人のおっぱいがワオ。ってなった。やったぜ。

「地獄」
ウォーボーイズがヨットにたくさん乗っててV8!!!!!ってならない。
すげー静かにこっちを見てくるし、ついに来ちゃったんだなって、変な汗が出てくる。
ここまでの地獄めぐりで仲間は二人死んで、一人は薬でボロボロ、もう一人はストレスでキレまくり。Tボーンステークッ!で、主人公ウィラードも出発当時とは考え方が少しずつ変わってきてて、もう昔のサーフィンを盗んだりトラでびっくりするような空気は一切ない、ピリピリした雰囲気がゾクゾク心地よいのです
カーツ王国の蒸し蒸しした東南アジアな世界は狂気アンド狂気で、訳もわからずこっちもテンションが上がってきて、陰でほとんど顔の見えないカーツの温かいようで冷たいようで、正論のようで間違っているような声は、上がって不安定になったテンションをふわっと包み込んできてあぁぁん転居!ってなる!そのあと迷彩ゴッドファーザーがシェフの生首持ってきたのはドン引きしたけど、たまにやりすぎちゃうカーツさんもそれはそれでカリスマだよねん。
カメラマンからカーツの話を聞いたウィラードが半壊れして行くのはちょっと見ててきついんだけど「あっ!カーツさんもソルジャーとして死にたいんや!!じゃあ殺したるわ!」って発想は完全にキチガイ!わお!!!
カーツさんもそれも気づいて遺書を残してるってとこはどっちもやっぱり頭おかしくなっちゃてるのか、それともここまで娯楽映画としてこの作品を見てきた自分がおかしくなっちゃってるのかよくわからんね。
あと、ジャケットにもなってるあいつってこいつだったのか、、めちゃめちゃ怖いやん、、
あとあと、民族トランス儀式ってやっぱりこっちもトランスしますね!!!牛とカーツのリンクがゾクゾクを加速させてくれるし、そして後ろでニコニコ牛を眺めるジャンキーサファー!!幸せそうで何よりですよ!!暗殺を終えたあとの神様誕生シーンは一瞬V8!!V8!!ジェイホー!なりそうになったんだけど、ウィラードさんの冷酷冷静絶対殺顔面でそっちじゃない神様だってしょぼんとしました。
ただ、やっぱり神様は神様な訳で、銃や刃物が床に落ちる妙に軽い音に、霜柱を踏んでる時みたいな気持ちよさがありました。ジェイホー!!!


なんだか戦争映画を見て戦争ダメ絶対怖い!ってなるのはもちろんあると思うんだけど、この映画を見て思ったのはそういうのじゃなくて、映画を見たッ!って感じ。
この映画……!好きッ!!ってなったからそこから戦争の悲惨さを学ぶとか、そういうのは一旦置いときたくなっちゃうんですよね、、なんだか誰かに怒られそうな気がする
Yu

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