Aya

マザーレス・ブルックリンのAyaのレビュー・感想・評価

マザーレス・ブルックリン(2019年製作の映画)
3.4
#twcn

期待のエドワード・ノートン初監督作!!
主演も自分。

なんと王道探偵物語。

チック症持ちのライオネル。あだ名はブルックリン。
カッコよすぎね!?

1950年代のNYを舞台に探偵業を営むブルース・ウィリスボスの元、真面目に仕事をする毎日を過ごしている。

ライオネルがイライラした時に頼るのはガムとマリファナ。
彼は抜群の記憶力を持ち、盗聴の際にその能力を遺憾なく発揮していた。

しかし、ハミルトンハイツの建設反対運動の代表を調査していたブルース・ウィリスは取引をしようとした相手に撃たれて死んでしまう。
(2019年にハミルトン・ハイツの話っていい読みだと思うんだけど、ごめん私ハミルトンリテラシー低いからピンとこなかったよ!)

ライオネルのチックを「フリークではない」と言って彼の特技をかってくれたブルース・ウィリス。
最後に「彼女を頼む」と言い残した。

※映画内では「チック」と言われていましたが、これ多分トゥレット症候群の方への分類が正しいですよね?

これは聞きかじりなのですが、トゥレット症候群の方は言葉が出やすいときにある一定の規則制のある単語を口にするという。
それがライオネルは「if」もしも。
ここもかなり意味深い。

後、ちょいちょい挟まるユダヤ教ギャグとギリシャ神話比喩が私には難しいっす!

上記のような事情があってかどうか、この映画この時代にしてはめちゃくちゃ気を使ったポリティカルなセリフになっているのですが、日本語字幕と元々の英語との乖離が結構ありますね。

なんとブルース・ウィリスの奥さん役がレスリー・マンだったww
しかも夫亡き後、レスリー・マンがブルース・ウィリスに代わって探偵社の社長だ!と言い出すw

新しくボス代理にボビー・カナヴェルさんを任命しやがってw
ちゃんとこの映画のボビー・カナヴェルさんもクソ野朗で安心。
でも苦労してきた分幸せになりたいって気持ちはわかる・・・。

なにこの極地的で豪華なキャスティング。

これまたアコギなNY市長による任命式で大暴れする威勢が強いブルドーザーと呼ばれる靴のサイズの合ってないNY市の利権トップの監督官アレック・ボールドウィン。

部下に慕われ好かれていたブルース・ウィリス。
ライオネル以外も人種や宗教も違う孤児を雇い入れていただけに、ライオネルも親父のようにブルース・ウィリスを慕っていた。

そんな彼の思いを果たすべく「彼女」といっていたフュリオサ、じゃない「フォルモサ」を探すため、ジャズクラブも巡るのもNYっぽさがビンビンです。

おっ!
探偵映画色出てきましたね!
亡きブルース・ウィリスのハットとコートを身に纏い、コーヒーを片手に新聞を買う男ライオネル。
(ホットコーヒーの紙コップにカップスリーブをつけること考えた人ほんと天才よね)

しかしこの王道探偵映画のポイントは調査員がトゥレット持ちということ。

探偵って気づかれずにコソコソとターゲットを付け回す仕事じゃないですか?
なのにライオネルは彼の意思に反してTPO関係なく言葉を発っしてしまう。
目立つやん!

実際、地下鉄のシーン子供連れのお母さんめっちゃ誤解してたし!

わりとシュっと「彼女」を見つけたライオネル。
Ms.ホロウィッツはハミルトン・ハイツの差別撤回運動の責任者。
最初は「彼女」とはこのターゲットの女性かと思っていたら・・・

その右腕を演じるのはルピタ・ニョンゴと並んで顔がキュート過ぎてジェラシー!なアフリカ系の2代巨頭、オックスフォード出身の超インテリ、ググ・バサロー。
こんな可愛いのに女優としては遅咲きだな、と思ってたらRADAも出てたのかよ!!
エリート中のエリートやん・・・。

もちろんライオネルは一瞬でフォーリンラブ。
彼のチック症状をも楽しいと言ってくれる彼女。

古き良きアメリカの公聴会。
探偵の如く変装して潜り込む記者。
ジャズ・バー、ビリー・ローズ、ブラックコミュニティから文化的に迫害されるホワイト人種。

ライオネルのスラム街の撤廃を言い訳に住民を追い出し、公団住宅や公園を建設しようと目論むNY市。
そこにはアフリカ系への差別と建設利権が絡んでいた。
(今作ではライオネルのニックネーム。古くはアイルランド系移民、アフリカ系のハーレム地区を経て今やNYでもかなりヒップでイケてる地区ブルックリン・・・)

それに反対する勢力との争いに巻き込まれたってわけさ。
(ちょっとマーロウ風)

俯瞰的にこの事象を見ているようで実はある計画を企てていたウィレム・デフォーw
しかも彼は・・・みんなIMDB見ちゃダメよ?!

しかもこの行政改革もっと根深い問題がありまして。

NYは(特にマンハッタンやブルックリンなど)島がボツボツいくつか分かれて存在していたり、道路は一通だったり狭かったり、そもそも車持ってる人自体少なくてそこに目を付けたクソ市長とアレック・ボールドウィン勢力の権力構造の根深さとその手があったか!という・・・えー今の日本でもやってそー。

「フォルモサ」の意味を知ったライオネルはどんどん真相に迫ってゆくが・・・ここでもまだ1時間ちょい。
まだ半分もいってないよ!

しかもそこから最悪→ロマンチック→ライオネルの秘密

うううそういう意味じゃなくても悲しいよおおおお(T_T)
逆にそっちのほうが悲しいよおおおお(T_T)

そんなライオネルが映画中初めて「スイートハート」と呼んだ人物とは・・・(いやなんでやねんwと思ったけど)

なんか話を聞いてるとライオネルってちょっとリア充みが抜けたシャマランみありません??

後半のアレック・ボールドウィンの告白・・・えええ?!
そんなこと考えてたの?!
ごめん!いつも半笑いで「最近のアレック・ボールドウィンは(笑)はとか言ってて!

て、てかウィレム・デフォーーーーーー!!
たしかに!関係ないけど!!
でもライオネルは・・・バカやろう!!

ライオネルはどんどん真実に近づいていくんだけど、彼にとっては辛すぎる現実・・・そして最後の決着をつけるためペンステへ(ペンシルバニアステーション。ペンシルバニア州ではなく、マンハッタンのど真ん中にあるドチャクソ大きな駅)・・・。

そして今度は真実を追う側から真実を知ってしまった故、追われる側に。

重要な話をするときにはトゥレットが出ないのは彼が克服したということですよね?

王道の探偵物語の様相を得ながらも家族の物語でもありましたね。

ラストのプールにたどり着く頃には・・・うううクソやろうどもがあああ!!
結局はウィレム・デフォーの嫉妬とアレック・ボールドウィンの私欲じゃん!!

「僕はやってないけど、もしセクハラ被害に合ったと思った方は教えてね」
がジョークとして通じないような役をよく引き受けたなあ。
アレック・ボールドウィンなんて絶対やってるやろ!
(ってみんな思ったよねw)

まあ、反則的に覆す意味も込めてクレバーな問題児エドワード・ノートンが引っ張ったのかも。
権力とかそういう言い訳はええねん!

ひどいよ!
ググ・バサローがかわいそう過ぎ・・・。

あの人カッコよかったね!
クレジットがトランペットマンとしか書かれていませんが、顔に縦に傷のあるマイケル・ケネス・ウィリアムズさん。

ジョン・レグイザモ監督作の「Critical Thinking」にも出演されてるとか?!
観たいですね〜日本公開してくれぃ!この際、配信でもええんやで?
レグイザモ日本でもある程度愛されてっから!

話が進め進むほど、明らかになる真実が覆されまくるので結構混乱します。
整理が下手くそってわけじゃないんだけど情報量が多いのでもう少し上手くまとめたら分かりやすさも増したし、映画の尺自体も短くなったと思う。

その辺は役者監督としての欲なのかしら??
でもそこを削ぎ落として編集すべきだったか、もしくは脚本段階で削るべきだったと思います。
原作小説があるので余計そう思いますね。

レイモンド・チャンドラー好きにおすすめですし、役者の演技力や細かい探偵物語が好きな方におすすめかな?

If…
May be?

カメラワークが「ゲティ家の身代金」に似てるなあ、と思ったけど、「ピータールー」とかキウェテル・イジョフォーさんの映画の人でした。
あれかな?
俳優の序盤の作品のカメラを担当するのが多いのかな?


日本語字幕:
Aya

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