しゅんすけ

ザ・レポートのしゅんすけのレビュー・感想・評価

ザ・レポート(2019年製作の映画)
4.1
「ザ・レポート」

Amazon Primeで配信中のAmazonオリジナル映画。
Netflix映画「マリッジ・ストーリー」で名演をみせたアダム・ドライバーが出ていたので気になって観ました。

2001年の同時多発テロ以降、CIAが容疑者を捕まえて行っていたEITというプログラムの調査を議会上院から任されたダン。地下の仕切られた部屋で少人数で何万ページにもわたる資料を精査した結果、大音量で音楽を流したり、全裸にしたり、水責めをしたりと拷問をしていたことが判明し、議会を通じて公表しようとするも、議会やCIAから妨害工作にあうという話。

監督は、スコット・Z・バーンズ。
「ボーン・アルティメイタム」の脚本家であり、そして今話題の「コンテイジョン」の脚本家でもあります。「コンテイジョン」の監督のソダーバーグとは「インフォーマント!」「サイド・エフェクト」「ザ・ランドロマット」でもコンビを組んでます。しかも、最新作は「007/ノータイム・トゥ・ダイ」の脚本ということで、ポリティカル映画ならお手のものという方です。ちなみにソダーバーグが製作総指揮で本作に携わっています。

調査の過程で、オバマが大統領、2期目の当選になったり、ビンラディン暗殺計画を描いた映画「ゼロ・ダーク・サーティ」の公開がネタとして絡められたりと小ネタが満載で面白い。資料を精査していく様子が淡々と描かれていく地味な映画で、タッチとして近いのは「スポットライト/世紀のスクープ」かと思います。

あと、どうしても比較してしまうのが、エドワード・スノーデンと昨年公開された邦画の「新聞記者」。スノーデンは結果として、機密情報をメディアに暴露、「新聞記者」も松坂桃李演じる官僚が新聞記者に内容を告発するという終わり方でしたが、本作はそれとは違う方向で決着がつくのが面白かったですし、綺麗ごとに聞こえるんだけども、本来はこうあるべきだよなと考えさせられて、いい終わり方だと思いました。

アダム・ドライバーは本当に最高です。「スター・ウォーズ」3部作に「パターソン」「沈黙/サイレンス」「ローガン・ラッキー」「ブラック・クランズマン」「マリッジ・ストーリー」「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」「デッド・ドント・ダイ」とインディーズから大作までほんとにどういうスケジュール管理してるんだよというぐらい、いい映画に出まくっています。同時多発テロを受けて、海兵隊に入隊したという経歴の持ち主なので、そういうのも社会派作品にも出演するきっかけなのかな?とも考えてしまいました。

Netflix映画に負けず劣らずの良作でした。
地味ですけど、頭を使って向き合える1作です。