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街の上でのgcpのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
3.5
下北沢という舞台と、なんてことない会話(特にイハちゃん!)のリアリティと、コントみたいな展開のちぐはぐさに戸惑いを隠せなかった。サッドティーのように終盤に畳みかけるような見せ場があるとヤラレタな〜!という気持ちよさがあるのだが、この映画は無理矢理テーマと感じさせるものを仰々しくしかも途中途中で挿しこんでくるからどうしても違和感!(5人集まったシーンは笑ったけれど)それでもやっぱり下北沢という街は少し特別で自分にとっての下北沢を思い出さずにはいられない。いまは絶縁状態の友人と初めて遊んだ16歳の秋。真っ赤なロリータ服で南口に立っていたあこがれの彼女の姿を思い出す。わざわざ下北沢に来ているのにドトールやミスドに長時間滞在してはラッキーストライクを、彼女はハイライトをすぱすぱ吸って話し込んだ。17歳になる歳には下北沢限定発売のサウンドオブ下北沢のため、これまた別の絶縁状態にある友人と下北沢レコファンまで買いに行って私たちへの誕生日プレゼントだと喜びあった。恋人とデートする時は高架下にある綿飴機に100円払って街をあるきまわった。古着屋の前のベンチで青のジャイアントコーンを2回連続で食べたら驚かれたのをよく覚えている。もうそのアイスを買ったセブンイレブンもドトールもハイラインも通り抜けできるレコファンも旅行の計画をたてたtissueもなくなってしまった。わたしが知ってるのはイノマーがいる気がする王将と年イチペースで訪れる本多劇場だけ。彼女たちに会うこともない。だけど在ったことを忘れない。わたしが縁を切ったと思っている彼女たちは、わたしのことをなんと呼ぶだろうか。知り合い、友人、友達だったひと、元カノ、思い出したくもない奴、、、20代前半の時は頑なに「知り合い」と「友人」を分けていた。映画を観ていたらその時の意地に近い感情を思い出した。愛がなんだに続き関係性の概念をぶつけられる。好きってなんだろう。付き合いましょう、別れましょうてなんだろう。好きの証ってなんだろう。もう30代なのに自信がなくなってしまう。かたちないものとかたちあるものが街の上で変わったり変わらなかったりしながら生きています、てこと?そんなことを思えたからやっぱりなんだかいい映画だった。
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