今泉力哉×若葉竜也
『愛がなんだ』で完全にやられた私にとって
本作は待望の新作であった。
若葉竜也扮する青はうだつの上がらない古着屋の店員。閑古鳥の泣く店内、青はカウンターで本を読み、会計に訪れた客の対応をし、また本を読む。プライベートもうまく行かず、仕事が終われば下北沢をぶらつき、古本屋やライブハウス、行きつけのバーを転々とし、日々をやり過ごす。
そんな中、青のもとにひとりの美大生がやってくる。卒業制作の映画に青を起用したいというのだ。
いわゆるオフビートな映画で、これといって大きな事件は起きない。どこかにある日常を切り取ったような作品である。
若葉竜也さんの流れるような自然な演技がこの映画を見事なものにしていた。
誰も知らないけど、確かに存在している。
まさにそんな日常を覗き見するような映画であった。