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街の上でのKtoのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
3.8
「愛はなんだ」で流行の俳優を起用したベタなサブカル恋愛映画かと思わせて、共感性の欠如した美男子によるトラウマ級のサイコスリラーを描いた今泉監督。

今回は、下北沢を舞台に30代サブカル男の恋愛未満的関係をお洒落に冗長に描く「青い映画」と思わせて、手数が多く一個一個がソリッドにキマる正統派コメディとなっていて素晴らしかった。

●下北沢懐古趣味をそそる
下北沢に馴染みのある人なら、嬉しいロケーション。まず眠亭でラーメン啜るし、hickoryでバイトしているし、背景にポニピリカ(カレー屋)がちらっと映る。駅周辺が再開発で変化する以前にあの界隈で青春時代を過ごした人にとっては、数十年後にも見返したい文化遺産的な価値が出てくると思う。

●脇役がコメディ
古着屋のロン毛カップルの喧嘩が面白い。「あさこは2位なの。寺田さんに告白させてよ」とか、片想いが実らない感じは「愛はなんだ」を思い出す。

姪っ子のことが好きな警官。「絶対に言わないでよ」はめちゃ笑った。言うわけない。

18-1-13(13はテイク数)も、カチンコだけで「演技が下手」なことを表現していて上手だなと思った。

城定さん宅での長回しも良い。どこに向かっているのかよくわからない男女の雑談。お茶飲んでるけど深夜テンションだから、初対面とは思えない親密さで盛り上がっていく感じが心地いい。

終盤の、4人+イハの元彼のシーンはコントのようによく出来ててめちゃ楽しかった。
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