あまのうずめ

アフター・ヤンのあまのうずめのレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
3.9
中国人の養女ミカを迎えテクノと呼ばれるロボットのヤンをシッターとして迎えているフレミング家。ある朝ヤンが起動しなくなる。ジェイクはミカの為ヤンを修理に出そうとするが、リサイクルに出し新モデルとの交換を提案されてしまう。


▶︎公開時から気になっていて鑑賞することが出来て嬉しい。たゆたう時間の中で近未来の家族とテクノと呼ばれるロボットの記憶を優しく描いている。A24製作でA24だからこそ作れた作品だと思う。

日本映画の影響を受けていることが音楽のみならず端々に残っている。ビデオ通話の四角い画面以外は全て広角カメラで撮られ、家族の変わりゆく姿を映していることからも小津映画の影響が見られる。

冒頭のダンスバトルの映像で始まるオープニング・クレジット、ジャパンディスタイルのインテリア、茶葉専門店を営むジェイクの様子から始まり穏やかなセリフ運びで物語が進む。ヤンのメモリは宇宙とも肉体に走る神経回路とも言える様で家族への想いが伝わる。モノに残る記憶、家族の在り方、伝えるべき事、残して行くべきモノの暗示であり提示が、優しいトゲの様に突き刺さった。

コリン・ファレルの抑えた演技が逆に目立った結果となり、ミカ役の子役の発話との対比も良く、ラストにミカが何を言ったのかを想像するのもまた面白い。