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エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIEのblacknessfallのレビュー・感想・評価

5.0
ドラマ完走したから次は映画だよ。

最後にウォルターの贖罪的とも言える捨て身のアタックで監禁されていた白人至上主義者の麻薬密売人達のアジトから解放されたジェシーのその後が描かれる。
気になってたから興味津々で観始めた。

過去の回想シーンを絡めてジェシーの生き様、後悔、悲しみをビターに描く。
ジェシーってノーテンキなチンピラ気質の普通のちょい悪兄ちゃんだったんだけど、ウォルターとドラッグ製造密売始めて散々なめに遭ってるからこういうトーンにしたのは正解だと思う。本当に得たものより失うもの、喜びより悲しみが多かったから。2人の恋人と死別してるしな。
最終的に完全に和解することはなかったが逃亡中にウォルターとの記憶が蘇り、ウォルターは自分の父であり友だったと確信する。死別した恋人の言葉もジェシーの生きる力として脳裏に刻まれる。

常にオロオロフラフラするか短慮に感情任せに暴発するだけだったジェシーがタフな男に成長する地に足のついた終りは峻厳でありながら暖たい余韻を残す。ジーンした。長いドラマを締め括るに相応しい映画。

でもね、正直、途中から全然楽しめなかった。それは本作のせいではない。では何故か?
中盤ぐらいで友人からLINE着たので開いた。そしたらなんとTHE AVENGERS10月に来日するって書いてあったんだよ‼️
おれはこのバンドの大ファンだからな。見た瞬間グワッとなったよ。瞳孔や身体中の色んなとこがグワッグワッグワッって。
大ファンてだけじゃなくて日本で全然人気から絶対に来ることはないと思ってたし。

THE AVENGERSはアメリカの最初期のパンクバンドの1つでボーカルはペネロペという女性。
パンクの革命的なことの1つは圧倒的に女性のメンバーが増えたことがある。なので、初期パンクの頃は女性ボーカルのバンドは世界中にたくさんいた(日本にもアーント・サリーやミスター・カイトが)。
その中で最もパンキッシュでカリスマ性がある女性ボーカルはTHE AVENGERSのペネロペ。短髪でスマートな中性的な佇まいとギャップのある女性的な地声とパワフルなシャウトは唯一無二のかっこよさがある。曲もハードコア前夜の加速を加えたハードパンク。この時代のパンクの最高値なんだよ。
こういう持上げ方は好きではないけど、Dead Kennedysの創始者でポリティカルパンクのカリスマであるジェロ・ビアフラはTHE AVENGERSのライヴに触発されてバンド結成を決意したと公言している。

そんなレジェンダリーなTHE AVENGERSだけど今現在、アンダーグラウンドシーンで初期パンの人気が下火なのと日本に紹介されたのが遅めで、スラッシュメタルやグランジからアメリカのパンクやハードコアを"発見"したおれのようなファナティックめなマニアぐらいしかファンいないという惨状。だからマジでこの来日は奇跡と言っていい。
もう、こうしてレビューを書いてる今も発狂しそうなぐらい興奮してる😵💓 なのでとても本作に没入することができず、完全に上の空で観ることになってしまった笑

なので当然点数はTHE AVENGERS加点だぜ😬💨
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