たす

バナナ・スプリッツ・ホラーのたすのレビュー・感想・評価

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・いつもfilmarksで鑑賞記録をつけるときはスコア(★)もつけているんだけど、この作品に関しては「ホラーファンとしての自分」と「子供向け作品はどう扱っていくべきかという自分なりの考え」が対立して、評価が難しいな。

・考えが複雑になってしまっているのは、この映画に出てくる「Banana Splits」という子ども番組が、実在のものだったという要因によるものです。

・そして「子供向け作品はどう扱っていくべきかという自分なりの考え」についてだけど、私は子供向け作品については、少なからぬ多くの人の子供時代の思い出に紐づいているものだからこそ、世界観を壊してはならないし、そのようなことをするのはかなり無粋だ(言葉を選ばずに言えば、ダサいし最悪)と思ってしまうタイプの人間なんですね。

・とにかく「夢を壊す」ことについて粋じゃないなと感じる人間なのよ私は。テーマパークで「キャラクターの中にはどうせおっさんが入っているんだよ」と言うような人間のユーモアが一番嫌いです。おもんないねん。

・なので例えば「プー 悪魔のくまさん」等にはかなり腹を立てています。プーのビジュアルを歪めているのもスベっているし最悪で、端的にいえばサムすぎると感じるので、本編を見る気も起きず、というか自分は見ないほうが良いと思って過ごしてきています。

・さらに例えになりますが、ホラーではないにしろ、パワーパフガールズの実写版映画製作のうわさが立ったものの結局頓挫した件とかもそうじゃないですか。あれは「成人になったガールズが、子どもの頃の自分たちはヒーローとして搾取されていたと気づく」みたいな、まあ見るからに良くなさそうなプロットで、多くのファンから反発を受けました(私も子どもの頃にガールズが大好きだったので、反発した一人です)。

・要約すれば、子どもの頃に友達のように接していたコンテンツの「そんな姿見たくない」と思うような作品は、作られるべきじゃないんじゃないかと私は考えてしまうのです。

・さて、話をこの映画に戻しますが、「Banana Splits」は1968年~1970年にかけてアメリカで放送されていた子ども番組だそうです。この映画に出会って初めて知りました(テーマソングだけは、キックアスの有名なシーンに使われているので知っていましたが)。キャラデザが妙に良いなと思ったのは、実際に放送されていた子ども番組のキャラクターをそのまま持ってきたからなんですね。番組制作をしていたのはなんとハンナ・バーベラプロダクションです。まじかよ。

・そんな「Banana Splits」の面々がこの映画ではアニマトロニクスとして描かれています。「Show must go on」とプログラミングされている彼らは、番組が打ち切りに瀕していることを知り、プログラミングどおり「ショーは続けなければならない」と、番組に関わる人々を(なぜか)惨殺していきます。

・これが、実在の子供番組をもとにしたのではない、全くのオリジナルのホラー映画のプロットだったとしたら、私は嬉々として見ていたと思います。モフモフのcuteなアニマトロニクスたちが暴走し、ゴア表現たっぷりにキルカウントを重ねていく様は面白いからね(モツもしっかり出ていたし、かなり景気がよかったです。あと、アニマトロニクスだからPOWERがすごいのか、簡単に人体を真っ二つにしたり、ぽいぽい手足を分解したりしていてすごかったね)。

・でも、どうしても「これが実在の子供番組だったんだよな」という考えが頭をよぎることで最後までノリきれず、消化不良みたいな感じで終わりました。うーむ…。

・あとより最悪なのが、邦題だと「バナナ・スプリッツ・ホラー」だけど、原題だと「The Banana Splits Movie」なところです。良いのか??と良識を疑ってしまうよ…。「ぐ~ちょこらんたんホラー」ならまだしも「ぐ~ちょこらんたんムービー」という題名でスプーたちが人体破壊し始めたら引くが…。
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