たす

aftersun/アフターサンのたすのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.8
・人と人は愛し合うことができる。けど、すべて理解しあうことはできない。それでも人は人と関わりあって生きていくという、人生を凝縮したような1本

・「人によっては刺さりすぎて、ヤバいかも」という評判を聞いていたのですが、私、まさにそれになってしまいまして…鑑賞後30分以上にわたって泣き続けてしまった。おかげで今日は顔がパンパンです。

・この映画は、全てを説明しているわけではなくて、余白が多い。だからこそ、そこの余白で色々想像が膨らむ人とか、その余白を自分の人生に重ね合わせて思いを巡らせる人とかには、ものすごく刺さって、温かいのに苦しくて、たまらない作品だと思う。

・主人公のソフィー(現在31歳)は、自分が11歳の夏に父(当時31歳)と二人で旅行に行ったときのビデオテープを見て、当時のことに思いを馳せているのだけど、私はいままさに現在のソフィーおよび当時のお父さんと同じくらいの年齢でして(32歳です)。だからこそ、この年で11歳の子供がいるお父さんの気持ちとか(私は独身で子供もいないけど)、一方で、今ビデオを見直しているソフィーの気持ちとか、両方に感情移入してしまって、胸がいっぱいになってしまった。

・年齢を経てみないと気づけないことってあるよね…。予告編でも「あのとき、あなたの心の声が聞けたなら」というフレーズが使われていたけど、そう思うこと、人生でたくさんあるもんな。

・夏のトルコの風景がとにかく綺麗で。でも、ちょっと退屈そうなリゾート地がどこかいとおしくて。ここらへんも、自分の幼少期に両親が夏の旅行に連れて行ってくれた思い出と重なって、今これを書いていてもかなり泣きそう。だめだ~~~めっちゃ引きずってる!!!うわ~~~!!!

・きっと2回目見たらさらに「ここって、こういうことなんだろうな」とかいろいろ考えられるんだろうけど、いかんせんボロボロ泣いてしまい体力の持っていかれ方がすごいので、落ち着いたらもう1回見てみようと思います。










----------以下ネタバレ------------




・ソフィーが「楽しい1日だったのに動けなくなっちゃうことってあるよね」みたいな話をしているときのお父さんの表情とか、誕生日を祝う歌を歌われた時のお父さんの表情とかそのあとの慟哭とか、経済的に困窮しているようすなのに高級な絨毯を買っちゃうお父さんの行動とか(たしか850ポンドって言ってましたよね?1ポンドって190円くらいだぞ?となると、16万円くらいぞ???)、色々なものが積み重なって「多分、そういうことなのかな…」と膨らむ想像に、終盤のダンスシーンで流れるQueenのUnder Pressureでとどめを刺された。

・お父さんがどうなったのか、作中では明言されていないけど、でもきっと、最後にソフィーに色々伝えたかったんだなと1つ1つのセリフを思い返すともうさあ、だめだよ…。
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