Jun潤

光を追いかけてのJun潤のレビュー・感想・評価

光を追いかけて(2021年製作の映画)
4.1
2021.10.01

工藤翼主演作品。

藤原竜也の幼少期を演じたり、藤原竜也が警察として赴任してきた学校に通っていたりと、何かと藤原竜也に縁がある工藤翼。
その彼が主演ということで今回鑑賞です。

東京から秋田に引っ越してきて廃校間近の学校に通う中島彰。
「隕石が落ちてきてみんな消えてしまえばいい」なんて考える典型的な中学生の彼の日常は、不思議な光とともに現れたミステリーサークルによって変わろうとしていた。

これはまた新たな青春の傑作が現れましたね。
廃校までという限られた時間の中で、ミステリーサークルをきっかけとした少年少女の出会いと交流、友情、学校、親、そして子供から大人への成長が描かれていました。

何より印象的だったのはタイトルにある「光」、その正体は明言されず、具体的な描写もなかったことですね。
しかし登場人物たちには確かに見えていて、それをきっかけに成長していくというのが、物語が始まる入り口として機能していてエモさを感じました。

また、モノローグを廃してセリフも最小限で、細かい描写から設定を噛み砕けるのも観甲斐がありましたし、
場面が田んぼの風景や山、空などの風景をメインとして登場人物たちのバックに描かれていたり、特に「光」が画面の中でも軸となって印象的な画に仕上がっていました。

雰囲気としてはオシャレなバンドのイカしたMVのようで、キャラやセリフ、BGMも含めてドラマよりもアニメ寄りな造形に感じました

描かれた登場人物たちもまた絶妙で、成長し広い世界を見る彰と真希、今を受け入れて精一杯輝こうとする閉校祭実行委員、それと対比して今を受け入れられない教員、子供達を見守る親と、様々な人間模様が描かれていました。

個人的にこういう青春作品では大人の真似事をする子供と、狭い世界から広い世界に出て成長する子供が描かれていると思いますが、今作は圧倒的に後者。
広い世界を見たからこそ感じる怒りや悲しみ、それらが如実に描かれていました。

一人より全員でやる、そんな希望の原点に立ち返り、未来の象徴であるミステリーサークル、それを作る光を見た子供達。
みんなギリギリだけど、逃げずに頑張れる。
Jun潤

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