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タイトル、拒絶のAQUAのレビュー・感想・評価

タイトル、拒絶(2019年製作の映画)
3.7
冒頭下着姿のカノウが駅横の道路で狂言回しのように語り始める。
小さい頃に劇で自分がタヌキ役だった事、自分の容姿と人生がタヌキそのものだということ、そして「カチカチ山」は始まる。

劇中デリヘルで働く女性(カノウは彼女達をウサギだという)の話だが風俗に関しては注目に値しない、本筋はそこで働く女性の内面が中心である、

冒頭で話した「カチカチ山」は悪さをしたタヌキがウサギに火をつけられるお話、世間一般的にウサギは正義でタヌキは悪、言い換えるならウサギが普通でタヌキが底辺、しかしタヌキにしてみれば「カチカチ山」は悲劇の物語でしかならない、悪いこととはいえ精一杯生きているのに存在を拒否されて(もちろん自分で更生しようとする意思は必要だけど)挙句に破滅に追いやられる。

劇中では雇われ店長はそこで働く女性はクソ、もしくはゴミと語る、しかし誰も好きでそこにいる人はいない、皆事情があったり抜け出せなかったり過去の出来事だったり、純粋にお金だったりで足掻いていると思う、そうカノウだけがタヌキではなく実はそこで働く女性皆がタヌキなのだ。
だからドロ舟にのりいつ壊れるかわからない状況でも必死に生きている、
いつ自分がウサギからタヌキになるかなんてわからないからね。
そんな彼女達の人生模様を今作は照らし出していると思う。

主演の伊藤沙莉さんは独特のハスキーボイスでこの作品で自分の中の好感度が上がりました。

映画.com参照
それぞれ事情を抱えながらも力強く生きるセックスワーカーの女たちを描いた群像劇。劇団「□字ック」主宰の山田佳奈が、2013年初演の同名舞台を自らのメガホンで映画化した。雑居ビルにあるデリヘルの事務所で、華美な化粧と香水の匂いをさせながらしゃべる女たち。デリヘル嬢たちの世話係をするカノウは、様々な文句を突きつけてくる彼女たちへの対応に右往左往している。やがて、店で一番人気のマヒルが仕事を終えて戻って来る。何があっても楽しそうに笑う彼女がいると、部屋の空気は一変する。ある日、モデルのような体型の若い女が入店したことをきっかけに、店内での人間関係やそれぞれの人生背景が崩れはじめる。2019年・第32回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門に出品され、主演の伊藤沙莉が東京ジェムストーン賞を受賞した。

タイトル、拒絶
2019/日本
配給:アークエンタテインメント
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