うかりシネマ

ラ・ジュテのうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

第三次世界大戦によりパリは壊滅し、放射能汚染のため人々は地下へ逃げた。復興のため科学者は、奴隷たちを未来へ送り必要な物資を運ばせる。
28分の短編、モノクロで、映像ではなく写真のみが映され、台詞はなくナレーションで語られる。その設定に反してSF的描写は少なく、映像であれば必要な描写も大胆に省略される。

時間移動させられた男は、過去の世界で女に出会う。過去の夢であることを障害とせず、二人は惹かれ合っていく。短い時間で二人の逢瀬は印象強く描かれ、主題が二人の幻想的な恋にあることが次第に分かっていく。
大規模なスケール感を回収しながら、綺麗に円環で終わる。


2回目、吹替。
大塚明夫がナレーションを担当する。声色は渋いそれではなく、淡々としてエモーショナル。
個人的に実写作品は、アニメと違って「本当の人間が実際に喋っている」からアテレコを“嘘”に感じてしまうので字幕で見るようにしているんだけど、本作は台詞がないので違和感もない。
科学者の聞き取れない囁き(フランス語)はそのままなので、むしろTV放送のドキュメンタリー調になっている。

吹替のため情報量がわずかに増え、シーンの繋ぎも印象が変わって見える。
軽く一人称が混ざることで、二人の関係性もより瑞々しく感じさせる。
決して観やすい映画ではないので、こちらの方がおすすめ。

観賞日:2024年2月18日(1回目、2回目)
観賞方法:動画配信サービス|U-NEXT(1回目)、動画配信サービス|YouTube(2回目)