Machi

SKIN/スキンのMachiのレビュー・感想・評価

SKIN/スキン(2019年製作の映画)
3.2
白人至上主義のヘイト団体に育てられたブライオンは、シングルマザーのジュリーと出会い自らの人生を変えたいと願い始める…。

過激派白人至上主義団体の主人公が愛を知り更正する物語。全身、頭から指先までを象徴的なタトゥーで埋め尽くした姿は威嚇的で恐ろしいが、序盤の犬や子供への態度から優しさももった人物であることが分かる。
そんな彼が恋に落ち、愛を知る過程は少々唐突にも思えるが、仲間内で見せる激しさとは裏腹に、愛する女性に真摯に尽くす姿は心を打たれる。

主人公は決して元から白人至上主義を掲げていた訳ではない。親に恵まれず、飢餓と隣り合わせの貧困から生きるためには、他に選択肢がなかった。そして衣食住を保証してくれた組織に尽くすため、望まれる姿であろうとした。根が真面目だったのだろう。
貧困層に生活の保証を与え、代わりに極端な労働を求めるのはどの国でも同じなのだな。
更正を目指した主人公が、その風貌から職にありつけず苦労する様子も一度落ちた者に対する社会復帰へのハードルの高さを窺わせる。

明確な問題提起があり、良い話ではあるのだけれど、ストーリー自体は非常にシンプル。そして主人公や反ヘイト団体の存在を美化しすぎのようにも感じてしまい、映画的なカタルシスを得ることはあまり出来なかった。
テレビのドキュメンタリーを観たような後味。社会派ドラマを観たあとはこういう気持ちになりがち。このジャンルには苦手意識が拭えない。
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