このレビューはネタバレを含みます
狂気的な主人公が私利私欲のためにカルト教団の教祖になる話だと思っていたら、思いの外真面目な作品。ダニエルには強い信念がある。
久々に善悪について考えさせられる映画だった。宗教や信仰心について扱っているが、神についてはむしろ、無神論的な質感と空洞のような不在性を感じる。というより、この映画で重要なのは核心(神の存在どうこう)ではなく、あくまで周辺(人々の信仰と行い)なのだ。
「ダニエルは聖人なのか?悪人なのか?」「悪人だとして、悪人は善い行いを出来ないのか?」逆に「信仰に厚い善良な市民たちは罪を犯さないのか?」ダニエルの人物像についても想像と解釈の余地が多くて興味深かった。ラストも意図がはっきりと分からない。あと、とにかく映像が美しいです。