へたれ

グンダーマン 優しき裏切り者の歌のへたれのレビュー・感想・評価

2.6
良かったとこ1 東ドイツのイメージを象徴するような炭鉱シーン
グンダーマンという人が、ミュージシャンでありながら炭鉱労働者であり続けたそうで、繰り返し出てくる炭鉱のシーンが印象的。巨大な掘削機で働く最中に思いついた詩を録音するさまが、労働に根ざしたミュージシャンというイメージをうまく表していた。

良かったとこ2 共産主義国の様子が垣間見える会話
旧共産圏を表現すると、民主主義的な目線で当時の政治体制を批判するような作品になりがちだけど、この映画ではグンダーマンがマルクス主義を振りかざしてスターリニズムを批判するような、おそらく当時こうだったのだろうと想像できる会話をするので、偽善的な内容にならずに済んだのが良かった。

ダメだったとこ1 全く効果的ではない回想シーン
70年代と90年代を行き来する構成がほぼ不発。スパイを続けた理由が明かされるわけでもなく、結婚するまでの葛藤が丁寧に描かれるわけでもなく、70年代のパートが90年代に作用していると見えるところもほとんどなかった。
時代が変わっても見た目がほとんど変わらないメイクでもあるので、これなら時系列に話を進めた方がまだ良かった。

ダメだったとこ2 平板な脇役たち
この手の伝記ものにありがちな、主人公だけが魅力的で他のキャラクターが平板な組み合わせ。特にグンダーマンの妻などは、劇中でもかなり長時間登場しているのに、場面ごとの感情の起伏もバラバラだし、それを演技で乗り越えようともしていなかった。
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