へたれ

人間の境界のへたれのレビュー・感想・評価

人間の境界(2023年製作の映画)
3.6
良かったとこ1 観客を飽きさせないウェルメイドさ
ベラルーシとポーランドが国境を挟んで難民のなすり付け合いをするという悲惨なテーマの割には、劇映画的な要素が盛り込まれていて、欧米の人が受け入れやすいように工夫されていた。中盤から出てくる精神科医のカウンセリングとか、伏線なのを隠さないぐらい分かりやすいつくりだけど、そういうベタな展開のおかげで、見るに耐えない現実が、大衆に訴えかけられるものに脚色されている。

良かったとこ2 エピローグ
ウクライナ戦争をめぐる難民の取り扱いにも踏み込んでいて、「難民救済」という人道的支援そのものに人種格差があるという欺瞞をストレートに訴えたことは、今のヨーロッパの空気では言いづらいことをあえて言おうとしていて好感が持てた。

ダメだったとこ 劇中で安易に解決させすぎ
フィクションっぽさでストーリーを引っぱった結果、終盤のまとめ方はかなり乱雑。ボランティアがどこまで手を出して良いのかといった、フィクションでは解決しづらい問題まで、気合いと音楽で押し切れば解決するかのような錯覚をさせてしまう。
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