乙郎さん

涼宮ハルヒの消失の乙郎さんのレビュー・感想・評価

涼宮ハルヒの消失(2010年製作の映画)
5.0
最初観た時は映画としての構成がなってないように思ったのだけれど、今思い返してみるとあの独特の雰囲気がいとしい。

(H30.1.7再鑑賞)
劇場公開時以来8年ぶり。こんなに面白かったっけ?ノワール、ハードボイルド、恋愛ドラマ、SFこれらすべてのジャンルを包括している。序盤の「照明」の暗さや学校の壁のヒビなどの「美術」からして素晴らしい。
確かグラビトンボルトさんが『聲の形』をノワールと評していて、個人的にはその意見には完全に組せないと思っていたが、京アニの仕事としてこの映画からのフィードバックがあるとすれば納得かも。ボイスオーバー(キョン)にドイツ表現主義的な光の当たり方。
後半に気絶が多くなるのはチャンドラー原作のハードボイルド映画的だし。日常の細かい動作を描く箇所は京アニの御家芸だが、同時にチャンドラー的でもあるよなー。
そして私個人が好きな「悲恋」のドラマとしての切なさ。ラストに映る本が『たったひとつの冴えたやり方』であることが泣ける。
乙郎さん

乙郎さん