アネモネ

この世界に残されてのアネモネのレビュー・感想・評価

この世界に残されて(2019年製作の映画)
3.6
映画初め。

静かに、けど重く悲しく愛が深い映画でした。


アルドへの自分の行動というか感情を理解できないまま溢れる気持ちを抑えきれない幼いクララが、次第に自分が何を求めていたのかに気付いて少しずつ成長する姿が愛おしく切なかったです。
アルドが、クララの抱えているものがよくわかったから彼女を受け止めた事、
感情を隠さないクララに戸惑いながらも、自分も癒されていくのがわかるアルド演じる俳優さんの演技は素晴らしく、それゆえに静かに泣けるのでした。

あの時代のハンガリーだからこその
「癒される温もり」から「守りたいもの」に変わる辛さ。
アルドは、もう大切な人を失いたくなかったのだと思う。
だから選んだその後。
自分の心を埋める代わりにクララの安全と幸せを1番に願ったのではないかと私は思いました。
その代わり手に入れた温かな「家族」。
歴史を見ればこの後も大変なハンガリーを思うと、アルドやクララの選択がその後どうなったのか…。

クララを引き取ったオルギおばさんは急に思春期の少女の子育てしなきゃならなくなって戸惑っていただけで、本当はクララの心が休まる事を1番に想っていたことが良かったです。
三人が家族になっていく姿は観ているだけで涙でした。


この現代、共産主義じゃない国でも
この映画にさりげなく出てくる生き辛い日常が起きているのが悲しかったです。
アネモネ

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