Sachika

この世界に残されてのSachikaのレビュー・感想・評価

この世界に残されて(2019年製作の映画)
4.2
ホロコーストを生き延びながらも、家族を失い、1人ぼっちになってしまった医者と少女。
2人は互いに支えあい、心の隙間を埋めていく。
親子愛とも、恋愛感情とも受け取れる危うさ。
モラル、戦争で根付いた恐怖、自分だけが幸せになる事への罪悪感、それら全てに切なさの余韻が伴う。

物語の背景や人物の設定、心理描写、あまり説明はされないけど、観客が察して、ハッとして、理解して、この物語と2人の主人公について考えれば考えるほど、この映画が愛おしくなるな、と思った。
腕の数字、アルバム、元素の話、そっと拭った口紅、そんなちょっとしたシーンの全てがよくて、大好き。

設定が多すぎる映画より、このくらい「察してね」の映画の方が好みなのかも。
説明のされない、余白の部分が愛おしい。
Sachika

Sachika