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大地震のTSのレビュー・感想・評価

大地震(1974年製作の映画)
3.7
【古いが迫力は十分】79点
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監督:マーク・ロブソン
製作国:アメリカ
ジャンル:ディザスター
収録時間:122分
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二年前に公開された『カリフォルニア・ダウン』の元ネタになっていると思われる70年代を代表するディザスター映画です。想像以上に、地震による破壊シーンが多くて驚きました。またリアリティも中々であり、恐怖を植えつけられる描写が多かったです。センサラウンドという機能を搭載して上映したということもあり、アカデミー賞音響賞(現在の録音賞)も受賞しています。

大地震が発生し、未曾有の大災害を被ったロサンゼルス一帯。建築会社に勤めるスチュアートは建築技術の乏しさに悲しみながらも人々の救出を試みるのだが。。

冒頭からハリウッドの有名なロゴがある山が映し出され、今から我がハリウッドのあるロサンゼルスをぶっ壊すよと言わんばかりのノリです。ダムの決壊を危惧したり、計測の結果、大地震を予見している箇所も『カリフォルニア・ダウン』とそっくりなのでやはり『カリフォルニア・ダウン』は今作を参考にしているのでしょう。こういうディザスター映画は必然的に年を経る毎に迫力が増すので、70年代となるとその迫力は知れているものかなと、高を括っていました。ところが、中盤に起きる大地震は想像をはるかに超える迫力でして、改めて地震の恐ろしさを植え付けられました。とことん破壊するので相当費用がかかったでしょう。『2012』や『カリフォルニア・ダウン』のようなCGには頼れないわけですから製作には随分苦労したのではないでしょうか。このあたりの迫力に関しては申し分ないことをまずは保証します。

しかしながらストーリーがあまり魅力的でなかったのが残念。主人公スチュアートと妻のレミーの関係は冷え切っていて、そこから感動のドラマがあるのかと思いきやそうでもない。ラストも賛否両論でしょうが、なんとも言えない。。まあ映画ならではのご都合主義を払拭しているような気もするのでその点は良いと思われますが、結局は破壊シーンに全力を注ぎすぎて、ストーリーはやや平凡になってしまっていると言わざるを得ません。

それでも破壊シーンは大したものですし、ディザスター映画好きにはなかなかたまらない作品でありました。それにしても、ハリウッドがたまにこういう大地震に関する作品を出してくるのは、そのハリウッドが地震多発地帯であるロサンゼルスに属するからでしょうか。サンアンドレアス断層が動いたことにより発生した大地震は1906年のものがあり、それ以降は1989年のものを除いて特に発生していないようですからやや他人事のような感覚を抱いてしまいます。
かたや日本に関しては、東日本大震災以降こういうジャンルの作品の製作はぴたりと止まってしまいました。ましてや災害に関する映画のテレビ放送も自粛されている気がします。『カリフォルニア・ダウン』の上映が延期になったのもそのあたりが影響してそうです。このあたりから両国の温度差を感じ取れます。無論、カリフォルニアで大地震が発生してしまったら、以後このジャンルの映画の製作は滞るかと思われます。

余談ですが、同じ『大地震』というタイトルで1923年に製作されているものがあります。ジャケットが同じなのは明らかに運営側のミスと思われますが、誰もMarkされていないので気になるところですね。こちらの方が1906年のサンフランシスコ大地震に近いので、どのような描写をしているのか気になります。
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