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リベンジャー・スクワッド 宿命の荒野のSY3KRのレビュー・感想・評価

4.0
自身もアイルランド出身のランス・デイリー監督が、1847年の母国を舞台に綴る復讐譚。

マーティン・スコセッシ監督の『ギャング・オブ・ニューヨーク』ではレオナルド・ディカプリオがジャガイモ飢饉に襲われたアイルランドを逃れて渡米するが、本作はその惨状を詳細に描いている点で非常に興味深い。

地代をケチった強欲な地主たちが農民から強制的に身ぐるみ引っぺがす様子は血も涙もない悪鬼のそれで、主人公のフィーニーの怒りに自然と同調してしまう。憎たらしい領主や地主がバタバタと粛清されていくため、勧善懲悪の西部劇を見ている気分になり爽快だ。

お互いの人と成りを知りながら敵同士になってしまったフィーニーとハナ警部補の関係性にもグッとくる。彼らは決して言葉では語ろうとしないのだが、交わした視線・表情の機微の1つ1つから「同士」であることは自然と伝わり、奇妙な信頼関係が芽生えていることを示唆させる。

骨子はシンプルだが基本を全て外さず完璧に押さえ切っており、見応えあふれる良作だ。WOW WOWのみの公開で終わってしまったことが悔やまれる。

⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:78%
・観客支持率 :77%
「一見すると難解な筋書きの中に重厚で骨太なアクションが活きており、野心的な試みが予想を遥かに超えた出来となった」
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