ジーナ

Murder à la Mod(原題)のジーナのレビュー・感想・評価

Murder à la Mod(原題)(1968年製作の映画)
3.9
ブライアン・デ・パルマ監督の長編デビュー作。
日本では劇場未公開で、VHS・DVD・Blu-rayも未発売。
英語字幕で鑑賞。

デビュー作ながらデ・パルマらしさが凝縮されており、個人的には傑作の部類。
ジャンルはコメディだけど、クライム映画的要素もあり。
ヒッチコックとゴダールの影響を受けたのは明白w

主な登場人物は、妻と離婚する為の資金を稼ぐB級映画監督クリス、クリスに「妻は死んだから結婚しよう」と嘘を吐かれ、婚約を真に受けてウキウキの少女カレン、悪戯が大好きな変人オットー。

カレンはクリスにゾッコンで結婚する気満々なのだが、友人からは騙されちゃダメと諭される。
しかし、それでもクリスを信じるカレンだったが、彼から妻が死んだのは嘘だと白状され、婚約破棄されてしまう。
また、クリスの住むアパートにはいたずら好きなオットーが出入りしており、誰彼構わず玩具のアイスピックを振りかざして血糊を付けたり、パイ投げで遊んでいた。
そんな男女の修羅場やオットーの行動が交錯し、物語は意外な展開を迎える・・・。

デ・パルマ節が炸裂していてファンには堪らないw
ヒッチコックの「サイコ」のように女性を刃物で突き刺すシーンや覗きもあるし、長回しまである。
1968年のデビュー作から2019年公開の「ドミノ」に至るまで、50年間に渡ってデ・パルマは何も変わっていないのだw

ちなみに、オットーを演じるのは「ファントム・オブ・パラダイス」のウィンスロー役など、デ・パルマ映画には欠かせないウィリアム・フィンレイである。

本作の一番の特徴は、「パルプ・フィクション」のように時系列をバラバラにして、物語の前後関係が後半になるに連れて整理されてゆく構成である。
この時代から先進的な事やってたのね、デ・パルマ様・・・。
時系列バラバラ系の元祖は知らないんですけどもw

最初のカレンがジャンプしてる姿を連写してるシーンとか物凄くイカしてるし、ラスト付近なんて「キャリー」みたいだったw
音楽も最高。

本作が陽の目を見ないのは勿体ない!!!
ぜひぜひ「御婚礼」、「Wise Guys」等と併せて、デ・パルマの未DVD・Blu-ray化作を発売してほしい。
ジーナ

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