うにたべたい

空想特撮怪獣 巨人創造 LEDXのうにたべたいのレビュー・感想・評価

空想特撮怪獣 巨人創造 LEDX(2016年製作の映画)
2.2
昭和ウルトラマンシリーズの多くを監督した飯島敏宏氏がアドバイザーを務めた特撮映画。
2016年という近年上映された割にはあまり話題に登らない作品です。
Filmarksにも登録が無かったので、いつもの事ながら登録要望を出してレビューが書けるようにしてもらいました。
毎度マニアックで申し訳ない。

CG全盛の特撮業界でCGを使わない昔ながらの特撮技法で撮影されており、着ぐるみの怪獣がミニチュアの街を破壊しながら進撃します。
怪獣デザインも、現代の妙にスタイリッシュな怪獣ではなく、ずんぐりしたやや野暮ったいデザインで、非常に素晴らしいフォルムだと思います。
良デザインだと思いますが、必殺技なども特になく、ただ進むだけの怪獣のため特徴に乏しく、インパクトに欠ける感じがしました。

怪獣が度々現れる戦後日本。
そして怪獣が現れると決まって謎の巨人が現れて怪獣を退治していた。
人体を巨大化させる物質を巡って工作員と科学者、路上で活動するアーティストと詩人が、それぞれの思惑の中、活躍すという内容で、「なぜ怪獣は日本に現れるのか?」、「巨大ヒーローはなぜ日本に現れるのか?」に対するアンサーがテーマとなっています。
そのテーマの通り、怪獣の事情、巨大ヒーローの事情にスポットがあたっていて、怪獣映画ですが単純に巨人が怪獣を倒せば終わりではなく、昔ながらの特撮を使いながらも捻りのあるストーリー展開を作品となっていました。

ただ、最初から最後まで見ていたにも関わらず、正直、話がよく分からなかったです。
LEDXというのはパッケージにも描かれている一見怪人風の巨人の名前で、LEDXになるための秘密の物体を巡って工作員達が鎬を削るのですが、彼らが何の目的で、誰からの指示で動いているのかが全く見えないんですね。
普通バックに何かしら組織なり国家なりありそうなものなのですが、そういったものが感じられず、ただ工作員であるという自己紹介と共にモデルガンを振り回し、さらには独断でLEDXに変身して世界を守る始末。
銃が大量に出てくるのですが、発砲するシーンは1度も無く、銃を持ったエージェント相手に徒手空拳のおっさんがポコポコ殴って勝っちゃうのもなんか緊迫感無かったです。
あと、怪獣デザインは良いのですが、LEDXはあまりかっこよくなく、明らかに怪人なので、変身後もあまり盛り上がれませんでした。
LEDXも必殺技などは無く、CG不使用とはいえ、光線技くらいは古式ゆかりの特撮作品の伝統芸のようなものなので、あっても良かったのではないかと思いました。

チープなシナリオ、あまり有名ではない俳優陣、そしてお金のかかっていない特撮で、全体的にいまいちですが、こういうB級特撮って最近全くないので、そういう意味では一概に悪い作品とも言えず、ぶっちゃけ嫌いではないです。
怪獣から避難する子供たちがなんだか嬉しそうなのも個人的に高ポイント。
役者さんは真剣なんだけど、真剣に見たらダメなやつだと思います。