AP

すばらしき世界のAPのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.2
満を持しての今年初映画館。やっぱ集中できるし、良作だったのでなおさら満足。

まずタイトルとキャッチコピーが相当に良いなと思うが、まぁ"The日本"を見せつけられた感じ。辛抱辛抱。

一番印象的だったのはノースリーブ白ワンピ焼肉(で吉澤(長澤まさみ)が話す)シーンでしょう。
「レールの上を歩いていても幸せを感じていない。合わない人は排除。みんな排除されないように必死。」的なセリフな、まぁその通りですわ。

現状、自分がやっている仕事だって客のためじゃなくて、会社・部に怒られないためって感じで何かなぁと思う。良い環境で仕事ができている(恵まれている)という自覚はあるが、不満が先走ってしまいます🤷‍♂️

そういう面で吉澤は完全に割り切っているというか、社会に染まりきっているのを自分でも理解しているから強い。役所のお方もしっかり公務員やってたな。

このような日本社会の生々しさを全編通しているにも関わらず、変に説教じみていないのがこの映画の超好感ポイント。あくまで主人公三上のカタギに戻ろう物語であって、そこがブレていないから最後まで面白い。

そんな三上正夫を演じる役所広司さんは不器用で力技多めの方言おじさんやらせると最強だな。
刑務所暮らしが長かったんだろうなとすぐに分かる生活っぷり、お米の研ぎ方や洗濯物をピンと張る姿から見て取れる。チャリからちゃんと降りて電話に出るところとかめちゃくちゃ好感だわ。

人の温かさと元極道としての生きづらさを体感しながら社会に馴染もうとする姿をこちらは少しずつ応援したくなってくるわけですが、それが教習所に通い始めるタイミング。三上さんの運転申し訳ないがめちゃくちゃ笑ってしまった。辛くなったらずっと教習所で行進していてほしい。

原案として"身分帳"という小説があるわけですね、ちょっと興味ある。にしても身分帳に書かれていた字は読みやすかったですな、全部丁寧に書かれてんのかな。

最後まで気の抜けない映画で疲れましたけど、久々映画館で良い邦画を観られました。13年冷えた飯を食ってからの熱々すき焼きを味わうってどんなのやろか。

↓北海道ロケ地と記載してますが、旭川刑務所をロケ地と呼んでいいものか。数あるロケ地の中でも難易度最強クラス🤷‍♂️
AP

AP