このレビューはネタバレを含みます
すべての出演俳優と丁寧なつくりに見惚れた。
友人は「めちゃくちゃ泣いた」と言っていたが、私は、最後、ほっとしてしまった。
この物語がどこへ向かうのか。
観る側として、彼が更生を重ねるにつれ「ドラマ」を期待してしまう自分の残酷さと対峙した。
このまま更生して欲しい、だけどそんなに上手くいかないんでしょ、何かあるんでしょ、と期待してしまう。
そして、あの結末にホッとした。良かった、何も起こらなかった、幸せのうちに眠ったのだと。
自分のことを真剣に考えてくれる友がいて、社会との繋がりがあって、愛した人とまた親交を持てて、希望に満ちていて。
人は、いかに死ぬべきか。
死は、不幸なことなんだろうか。
だとすると、人は皆、不幸ではないか。
そうではない、幸福のうちになくなるということが、ひとつの幸せの形なのかもしれないと思えたからだ。
西川美和監督は、何をどうデザインしようとしてこの物語をつくったのだろう。