muni

すばらしき世界のmuniのネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき世界(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

映画館で見たかったけど
結局、サブスクで。

いやぁ、いい映画でした。
元々役所広司が好きなので
悪い評価にはなりようがないけれど
それを抜きにしても、演技が素晴らしかった。
演技というより憑依に近い。
三上という人間の、人生数十年をリアルに想像させてくれるようで、素晴らしかった。

映画の内容は、重くて苦くて生々しいほどに三上の感じる焦りや苦悩が伝わってきて、それでも真っ直ぐすぎる三上の不器用さにこっちまでイライラさせられた。
三上を塀の内側に押しやったのは、生い立ちであり被害者となってしまった若者という“他人”。
だけど、塀の外で手を差し伸べてくれたのも他人なのである。
人との繋がりで一喜一憂し、真っ直ぐに生きる三上という男が、逃げた先で女将さんに言われた“シャバは我慢の連続です。我慢の割に対して面白くもない。だけど、空が広いちいいますよ?”という一言、私の胸に刺さった。
結局、我慢を覚えて、周りに合わせて、お世話になった皆んなの顔を思い出しながら苦汁を啜った三上でも、最後まで正義感は失えなかったのかなと思う。職場で貰ったコスモスを、どんな気持ちで握りしめて帰ったんだろう。
最期に何を思ったんだろう。
三上さんが、来世こそ母に愛され、誰かを愛し、幸せに生きること祈る。
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