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花束みたいな恋をしたのりのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「始まりには終わりが内在している」みたいなセリフがあったけど、ドラマチックで運命的な出会いをしたときから、その言葉が効いてなのか、あと冒頭イヤホンのくだりもあってか、ずっと終わりを意識させられて、全ての瞬間が尊く感じられてずっと心拍数上がってた。どんなカップルもきっと経験するであろう恋愛のときめき、落ち着き、空回りを自然に、かつここまで輝かせてみせる技すごい。菅田将暉と有村架純バンザイ。5年間という時の流れを、2人を取り巻く物や人で感じる。ファミレスのお姉さんが売れた時には2人の停滞を、先輩が死んだ時2人のすれ違いを、パン屋が潰れた時2人の終わりを。映画の前半で散りばめられた幸せな思い出は、後半で悲しいすれ違いのモチーフとして回収される。お互いを心から大事に思うからこそ、気を遣って少しの不満が取り返しのつかないすれ違いになってしまったのかなと思うし、それでも5年間も続いたんだろうと思う。最後のファミレスのシーンは、そのお互いをかけがえのない人だと思う気持ちが溢れるシーンでめちゃくちゃよかった。あからさまなんだけどよかった。きっと観客みんな、大切なパートナーを思い出したんじゃないかなと思う。最初2人が出会う前にプロジェクションマッピングで自分を見つけるシーンがあったけど、最後もまた同じプロジェクションマッピングのシーンがあることで、これもまた何かの始まりを予感させ、希望を持って終えることができた。始まりは終わりを内包しているけれど、終わりもまた始まりを抱いているのだと。
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