ミーハー女子大生

花束みたいな恋をしたのミーハー女子大生のレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.8
とても共感出来る甘酸っぱくも切ない、 すごくすごく素敵な映画だった。

学生時代に付き合い始めて、辛い就活を一緒に乗り越えて、社会人になって、いろんな思い出を作って...
付き合いも長くて 一緒にいると安心するし嫌いじゃない。
でも気づいたらあの頃の感じたトキメキはもうどこにも無い。
イチャイチャも形式的なものになっていってそこには何の情熱も無い。
そんなイチャイチャをすることで別れた方が良いと確信する。
でも嫌いじゃないし、他に相手がいるという訳じゃ無いし、どうやって別れたら良いのか分かんない。
でもこれから2人でずっといる未来も見えない。 

勇気をだして別れ話をする。
別れ話をしているうちに色んな思い出があふれ返ってきてやっぱり別れなくても良いかも..って何度も遮るけど、やっぱりここで別れないという選択肢をとった時点でもう先は見えない。
いろんな感情が入り混じった涙がぼろぼろ流れてきちゃうけど、別れを決断する。
嫌いになったわけじゃないけど、恋愛感情が無くなって別れる様子がとても繊細に描かれていた。

映画を見終わって、改めて、このタイトルはうまいなと思った。
たしかにこれは花束のような恋だ。
花束はもらった瞬間が一番美しいように、恋愛も(本当にいい相手であれば)出会った瞬間が一番美しい。
しかし、花はどれだけせっせと水をかえてもみずみずしさが失われていくように、恋愛における関係性も時を経るにつれ(特に環境の変化が激しい若いうちは)、二人の意思に反して抗いようもなく変わっていく。
ドライフラワー(=結婚)にして、ずっとそばに置いておく方法もある。
しかし、物は残っても、もらったばかりの花束の美しさを取り戻すことは不可能だ。

映画の中の二人は、一緒に居続けて、過去のみずみずしい花束のような記憶と枯れた今の自分達を比較して失望し続ける道よりも、記憶の中の花束のみずみずしさを大切な思い出として心のうちにしまうことを選んだ。

恋愛は結婚がゴールのように思われることも多い。
けどその限りではない。
結婚には至らなくても、美しい思い出として、心に、もしくは世界のどこかに断片として(例えばGoogleマップ)、残る恋愛もあるのだ。

ストーリー 4
演出 5
音楽 4
印象 3
独創性 3
関心度 4
総合 3.8

131/2022