子どもの世界を大人がシンプルな質問で
ラジオで届ける仕事をする主人公。
色んな事情で甥っ子との数週間の生活を
送ることになった。子どもの世界を聞く
ことを通して、自分の過去や妹との関係、
死別した母のこと、自分の生き方を
見つめ直す話。
甥っ子がなかなか難しい。
手のひらに乗せようとするんだけど
全く乗らない。主人公は、手のひらを
広げる。今までの価値観がガラッと
変わる過程が描かれている。
ラストには結果的に手のひらに乗っている。
自分の価値観を変えるって苦しい。
人は変わらないから自分が変わるしかない。
でもそれは苦しい過程。
多様なものを受け入れるって簡単に言うけど
難しい。
人は年齢が上がれば上がるほど、そういう
機会が減って、凝り固まっていく。
だから、主人公にとって甥っ子との生活は
かけがえのない時間だったろうし、
甥っ子にとっても、自身をはじかない、
手のひらをひろげてくれるおじさんの
存在は大きいのだと思う。
作品自体は単調で、ちょっと時間を
感じるものであったが、物語の主題を
こうやって振り返ると素敵な作品だと
思います。