回想シーンでご飯3杯いける

カモン カモンの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
4.0
ホアキン・フェニックス扮するラジオ・ジャーナリストのジョニーが、妹から頼まれ、9歳の甥ジェシーの面倒を見る共同生活を始める話。

状況的な説明があまり無いまま話が進むので、冒頭20分ぐらいはどういうアングルで観れば良いのか戸惑ったが、2人の圧倒的な演技力で気が付けば作品の世界に引き込まれていた。

大人には理解できない子供の目線。子供から見た納得のいかない大人の世界。その2つが共同生活の中で起こる小さな出来事の積み重ねの中で交わり、教える大人→教わる子供という一方通行に収まりきらない、信頼関係を築いていく。

ジェシーをADHDの傾向を持つ子供のように描きながら、そこには敢えて触れないのがいかにもA24作品らしく、少しずるいようにも感じるが、逆に言えば、先入観を持たずに鑑賞できた人は、より多くの気付きを得られたのではないだろうか。

モノクロの映像は、音をキーワードにストーリーが展開する本作への没入度を高めるのに一躍買っている。また、普遍的なコミュニケーションの物語として、時代性を感じさせない雰囲気に仕上がっているのも良い。


※GW中に観た映画のレビューはここまで。10日間で劇場、自宅合わせて22本を鑑賞。色んなタイプを観る事が出来て大満足です。