タコ社長

カモン カモンのタコ社長のレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
3.9
先週渋谷ジム帰り、思いつきで映画館に飛び込んだ。

たしかこの監督は、人生はビギナーズの人だ。

もう映画は穏やかに淡々と過ぎていった。

ちょうどタコ社長は先日アプリで会った女の子からのLINEが死亡していて、映画はBGMと化していた。LINEなんか待てねぇ!この子が好きなんだ。好きな理由を探すのも、やめておく理由を探すのも、自由だけど、このゲームは負けが濃厚だった。

モノクロの映像が眼球を癒してくれる。音響からのマイク音が心地いい。あのふさふさした音響機器、僕も欲しい。

爆音でオペラを流す子供のセンスがめちゃくちゃいい。タコ社長も小さい頃爆誕でボレロを流した。祖父のオーディオで家中のドアを開けた状態にして。

あぁ、映画が入って来ない。ホアキンのおじさん加減がめっちゃいい。こんなおじさんになりたい。タコ社長のこんなおじさんになりたいリストはかなりあって、役所広司、田中哲司、ビルマーレイ、トニーレオン、そしてホアキン。

モノクロ写真を見ると、写真に写っているものが今の時点とはっきり断絶された過去のように見える時がある。モノクロ写真に移る親戚の笑みは、自分が抱えるあらゆるものを抱擁する力がある。

ただこの映画のモノクロはそういうのとは少し違った。眼球を癒すような効果に留まっていた。

インタビュを通して言葉を録音することで、ありきたりな日常が特別な作品になる。

そんなセリフがあった。そうなんだよ、そうなんだよ、そうなんだよ、そうなんだよ、かなりうなづいた。


映画館を出た渋谷は23時前だったが、相変わらず馬鹿騒ぎしていて、本当に時間の情緒が狂ってると思った。