ずっと考えてたんですが語る言葉がなかなか見つからなくて…。ただ間違いなく名作です。
トランスジェンダーが主人公だとジェンダーをテーマにした作品だと思われがちだけど、多分この作品ってそうではないんですよね。男性が主人公だからって男性であることがテーマだ、とはならないくらい当たり前に。
たまたま彼女は男性の体として生まれて女性として生きたい、それが苦難である。それを主軸に据えながら、ジェンダーがテーマではなく、単に苦難をエンタメとしてときにセンセーショナルに、ときにファンタジックに描いていると感じました。
「エンタメとして扱うな」と苦言を呈したくなる気持ちも自分の中に少しあって、でもエンタメとして扱えない(腫れ物を触るような存在として扱うこと)は逆に差別的な見方でもあるのかも…と葛藤が生じるのがこの作品を手放しに絶賛できないところかなあと。
けれど心を揺さぶられるのは確かで…これもまた言語化しづらいんだけど、一言で言うなら一筋の光が差し込む闇の美しさみたいな作品でした。強烈な光が闇を深めて、より引き立つ黒の艶やかさみたいな…。とにかく観てもらうのが一番早いですね。観てください。
そうだ!エンドロールの後のカットがあまりに美しいので、エンドロールは必ず最後まで観てくださいな。