母性
間違いなく下半期ナンバーワンの映画を観た。観れて良かった。今まで思ってきた感情ではない初めての感情にぐるぐると心がやられている。
こんなにもどうか幸せに暮らしてほしいと思った親子を久しぶりに見た。どこだっていい、2人が心の底からいつも笑ってて、ハニージンジャーソテーを食べるんだ。
生まれた頃から持っていて、身分証なんて当たり前に見せてきた。小学生の頃に漢字を習ってようやく書くことができたこのフルネーム。たった4文字。この文字で悔しいのか悲しいのかいまだに分かってないけど泣いてしまうなんて思ってもみなかった。わかってたはずなのに。当たり前は当たり前なんかじゃないんだよな。
「こんなの泣いたら忘れるわよ…」なんて言葉、いったいどれだけの夜に言ってきたんだろう。人間1人じゃ生きていけるわけがないのに「ずっと1人じゃけぇ、強くならないかんのじゃ」なんて何度言い聞かせてきたんだろう。
分かってたはずなのは私だけで、きっとずーっとこの感情と共に生きてきたんだろうと思うと、まだまだ計り知れない思いがあるはずなんだよ。悔しい、何もできない。無知でいていいはずがないんだよ。分かってるわけがなかったんだ。
血が繋がってなくったって、遺伝子が違ってたって、性別が違ってたって一緒の屋根の下で暮らしていくのが家族でしょう？これは間違いなく、母と娘の話だ。家族の話だったんだよな。
「なんでわたしだけ……」なんて思う人が1人でも救われますように。そんな世の中にするのは私たちだ。
