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由宇子の天秤のスのレビュー・感想・評価

由宇子の天秤(2020年製作の映画)
5.0
この話での事実は一体どれ?何処にある?揺さぶられ続ける鼓動と同期するように走るカメラワーク、いったい、何を選択するべきだろう

一筋の光が見える時、それは家族との繋がりを感じられる時だけなのかもしれない
そしてさらに言うなれば、第三者がもたらす外界との繋がりの中でのみ発見されるべきものなのかもしれない

ここに映る世界はとても静かで穏やかだ、BGMといえばリコーダーの音くらいで、あとは映画を見る人々の忘れていたような呼吸のみ、司法と社会の狭間、知性と倫理観のぶつかり合いで僕たちは動悸し、そして気づいた時にはこの魂の響きから抜け出せなくなることになる、紛れもなく僕たちが生きる社会の話だ

由宇子の正義感、人の本質と向き合う姿に圧倒され彼女がつく嘘も含め、背中を押したくなるような気持ちになる、それに呼応するかのように「嘘つかないよ」が印象的に残る
しかし、これは由宇子そのものが正義だと思い込んでいるだけだったのだ、ここで僕たちは彼女の側についていたことに気づく、傾いた天秤、さあどう撮る

今はまだチョコスティックパンの美味しさや、町のドーナツ屋、行きつけの中華料理屋の話からしか始められない
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