とむ

バビロンのとむのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
3.2
ハリウッドの黎明期、没落と栄光、ハッピーでクレイジーな劇伴、ドラッグとセックス…
個人的に好きな要素のハッピーセットみたいな内容の予告編だったので期待はしていたのですが、個人的にデイミアン・チャゼル監督作がなかなかハマらないこともあり、やや不安を抱いての鑑賞。


結論から言うと、やっぱダメだったな…
なんか、デイミアンチャゼルの作品って、
監督自身がめちゃくちゃ映画が好きって言うのは伝わるんだけど、そのどれもが小手先で踏襲してるだけって感じなんだよな…
「俺、映画知ってんぜ〜〜〜???」みたいな。
「ファイアパンチ」「さよならエリ」の時の藤本タツキみたいな鬱陶しさを感じる。
(関係ないけどルックバックは大好きです)


「ここでこういう撮り方したらエモい(あえて使う)っしょ!」みたいな。
確かに、ララランドの冒頭のミュージカルシーンとか、今作で言うとある人物の「葉巻を取ってくる」下りとか、
効果的ではあるんだけど製作者側の意図というかが透けて見えてしまってダメだった。
「ワシら映画のために金掛けとるで〜!!」みたいな。

ゾウのゲリ便とか、ションベンやらゲロやら垂れ流し女優とか、オッパイ丸出しでオーバードーズでくたばる感じとか、
露悪的描写でシネフィルがキャッキャするのも分かっててやってる感がなぁ…
下品だしあざといと思う。
(ウンコとかゲロを噴射する演出は好きです、念の為)

そして一個一個のシークエンスが長ぇ。
トーキーになって一発目の撮影の時にノイズが入ったりマイクの位置がどーのこーのみたいな流れも、まぁ撮影自体の嫌になるくらい何度も何度もやり直しさせる感覚を追体験させたかったのかもしれないけど、それにしたって長いし純粋につまんない。
ララランドの時からしつこいくらいに引用アピールしてる「雨に唄えば」オマージュなのはわかったから。目新しいことをして欲しい。


ただ、やっぱラストのラッシュはこう、胸にくるものは当然ありますよね。
すげ〜金かけて作ったMAD動画みたいな。

故・大林宣彦氏が「映画が映じられる24コマの間にはそれと同じだけの暗闇がある。そこに自己の思い出や経験を投影するから観客は泣き、笑い、そして作品を好きになるのだ」的なことを仰っていたけど、今作はまさにそれの鶴瓶うちって感じ。

でもやっぱあざといよこの監督。
セッションは好きだけど、自分にはもう合わないかなぁ…
とむ

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