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アンテベラムのslowのネタバレレビュー・内容・結末

アンテベラム(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

悲痛。冒頭のあの「様子」は南北戦争前の頃の再現風景だろうか。残酷な歴史を映画にして現代に伝えること。それは意義のあることだと思う。本作はそれが150年以上経っても過ぎ去るどころか、根を張り、人々に介在し続けているという現実を、トリッキーな構成のインパクトと共に、わたしたちに訴えかけていたのだろう。何も終わってなどいない。ジョーダン・ピール作品のプロデューサーが手がけたということで、ちょっとそっちのテイスト変えただけにも見えてしまったけれど、それはこの手の内容の物語が近年目立ち(目立つだけで昔からあったものだけど)、食傷気味という自分の素直な感覚もあるのだろう。終盤の火刑を見て、それでは何も解決しないと思ってしまうこの頭は、やはり当事者意識からは程遠いところにあって、あれは日常化したあらゆる人権問題、負の連鎖がとまらないことへの、絶望、怒り、報復、その全ての姿だったのだろう。あと、携帯の振動だけで伝わることの多さ。これはとても巧みな演出だったと思う。
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