Machi

ウィッシュ・ルームのMachiのレビュー・感想・評価

ウィッシュ・ルーム(2019年製作の映画)
3.3
若い夫婦が引っ越した館の奥で見つけたのは、殺風景な小さな部屋。そこでは何と望みのものを口にすると何でも眼前に現れるのだ。お金、食べ物、美術品、そして彼らはついに禁断の願いを口にしてしまう…。

不妊に苦しむ若い夫婦が部屋にあるものを願ってしまったことで起こるサスペンススリラー。日本未公開の本作だが、思いのほか楽しめる良作だった。

予告編からしてもっと後味の悪い展開を予想していたのだけど、物語の方向が倫理方面には向かずスリラーに特化して進むため、内容が重くなりすぎず思いのほか観やすい。道徳面を重視するとしんどい方向に向かいそうな作品だけに、敢えてこの路線を取ったのだと思うが、個人的には少し物足りなさを感じてしまった。

掴みはバッチリ。妻の願いに現れたモノによって、夫婦仲は険悪な雰囲気に。同時に不穏な過去の住人の事件を知り、さあこれからどう収集をつけるのかとワクワクしながら見ていたのだけど、後半に鍵となる存在がクリーチャー化してしまったことで、よくあるスリラーにまとまってしまった感がある。
収集の付かなさそうな題材を敢えて取り上げたのだから、もう少し掘り下げても良かったのでは?この物語だからこそ可能な感情的な部分をもう少し見てみたかった。

作中美術は凝っていて、不気味さとファンタジックさが調和した舞台は視覚的にとても楽しい。物語の雰囲気は非常に好み。だけど視覚的演出を優先しすぎて、整合性が気になる部分もある。

まとまりはいいし、美術も演出も凝っている。良作ではあるのだけれど、題材から期待値が上がりすぎて、少し物足りなさが残ってしまった。
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